小説K,氷 -26ページ目

ホストの恋愛3ー3

ぼくは千尋の心がよくわからなかった。

逆の立場の時は、必ずぼくは文句を言う。

「休みなんだから、アフターなんかせんでも同伴すればいいじゃん」

そう言うと千尋は必ず断り、ぼくの言う通りにしてくれている。

もし、同じこと言われたら、ぼくにも同じことができるのだろうか?

正直、自信がない。

ぼくがアフターにでるのも千尋のためでもあるのだから………

客を増やして、出来るだけ千尋に経済的な負担をかけないようにしたいという思いがあった。

ホストの恋愛3ー1~2P

日曜の夕方、千尋とベッドでテレビを見ているときだった。

ピ、ピピと携帯電話がなった。

携帯画面にさゆりと表示されていた。

さゆりが来てから二週間はたっていた。

(もしもし)

(もしもし、さゆりだけどぉ)

明らかに酔っているテンションだった。

(はい、わかりますよ)

(今から家に来て)

(はあ?)

(約束したじゃない、今、綾と飲んでるからぁ)

一人じゃないことを知り、ぼくは安堵した。

(わかりました、また後でかけ直しますね)

そう言って電話をきり、千尋のほうを見た。
千尋の視線はテレビに向けられたままだった。

それが無言の威圧に感じた。

千尋はぼくより四つ年上になる。

だからなのか、甘えるといった行為をしなかった。

「アフターが入ったんでしょ?行ってくれば」

少し刺のある口調だった。

「ごめん」

本当は謝るといった感情は湧いていなかった。

「いいよ、仕事でしょ」

そう言うと、千尋はぼくが玄関を開けてでるまで一度も振り向くことはなかった。

ホストの恋愛 2終

さゆりは何度も口移しでぼくにビールを飲ました。

その行為が何かの儀式で、その儀式に酔っているみたいに。

それから、さゆりはいろんな話しをぼくにはじめた。

住んでる場所から携帯電話の番号、趣味に今日は何をしたかまで。

ぼくはだだ相槌をうつ。

「へー」

「そうなんですか」

「いいですよ」

そのいいですよは、社交辞令のつもりだった。

何故なら家においでっといった内容だったからだ。

酔ったさゆりの戯言だと思っていた。

深夜の1時を過ぎた。

千尋の働くスタンドが閉まる時間だ。

ぼくは携帯電話をソファーに置いた。

千尋は来る前に必ず電話してくるからだ。

1時半過ぎた時に千尋から電話がなった。

(今からいくね)

(うん)

携帯電話をポケットに戻した。

さゆりはそれをじっと見つめていた。

「他のお客さんがきますからごちそうさまでした」

そう言って、ぼくはカウンター席に千尋の席を用意した。

流星とすれ違うときに流星が言った。

「お疲れさん」

「ほんとに」

そう言って流星とチェンジした。