小説K,氷 -18ページ目

SleepingBeauti

河内百合の存在は砂漠に忽然と湧いたオアシスのようなものだ。

そのオアシスに沢山の人間が群がった。

しかし、ほとんどの人間がそれは蜃気楼で、まぼろしだったと、落胆して散っていった。

中には蜃気楼だろうが、まぼろしだろうが関係なくしがみつく者もいた。

それが山下だった。

山下は作業主任の立場を遺憾無く発揮し、河内百合に近づいた。

合法的、かつ大胆に。

そして、見苦しく。

山下はシフトから細やかな休憩時間までも河内百合と同じにした。

そのメンバーにぼくも入っていた。

1番、害がないと山下は、ぼくのことを判断したのだろう。

事実、ぼくは害のない人間のはずだった。

他人と関わらないと決めたのだから。

でも………思いがけない出来事が起こったんだ。

予想だにしなかった河内百合の一言で。



サブタイトル 二人の女性エンド

脱線

ココ アバン シャネルの映画を見て、何故か涙がぽろぽろしました。

そんな映画じゃないはずなのに(^-^;

インクハートも。

どうやら涙腺の範囲が広くなったもようです(笑)

SleepingBeauti

ここで働く人達の半数が多国籍で構成されている。

特に夜勤組は八割の外国人がしめていた。

十二時間労働に同じ作業を永遠と繰り返し、働く者の目に生気は感じられない。

休憩時間でさえ、日常会話の一つ、話すことのない職場だった。

こんな職場に河内百合の存在はとても異質に感じられた。

確かに給料面は労働時間に比例して、それなりの給金は、もらえる。

だけど、彼女のような存在は珍しかった。

だから彼女は彼女で、ぼくのように何かしらの理由があるのだろうと、ぼくは思っている。

それを詮索するほど、ぼくは野暮ではないから、一度も尋ねたことはない。

誰だって聞かれたくないことはある。

ぼくがそうであるように。