「自己実現に夢中になる人で満ち溢れた世界をつくる」

そして、

「自分らしく生きる人で満ち溢れた社会をつくる」

その結果、

「自己実現した人にしか見られない風景を誰でも見られる世界をつくる」

そんなビジョンを掲げる

「未来価値創造パートナー」の渡邉敦です

 

 

こんにちは。

 

今日はフェルミ推定で困難を突破する解決力を手に入れるといった話を書いてみます。

 

 

昨日は、「論理思考」の話をしましたが、今日はフェルミ推定」の話をします。ひと昔前に話題になったこともあるのでご存じの方もいると思いますが、ここではご存じない方向けに、お話していきます。

ただし、長文になりましたので、飛ばし読みするなどしてもらえたらと思います。

 

『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』という本が以前の話題でした。著者はコンサルタントの細谷功さんです。細谷さんは「頭のよさ」には3種類あるといいます。

 

1つ目は記憶力に裏付けられた豊富な知識を持つ「物知り」タイプ。

2つ目は対人感性が高く、人の気持ちをすぐに察知できるという、「機転が利く」タイプ。

そして3つ目は、数学者やプロ棋士のように「思考能力が高い」タイプ。

 

この本では「地頭力が高い人」を3つ目の特徴を持った人だと位置づけています。

 

地頭力は、思考能力ですから、あらゆる思考のベースとなる知的能力とも言えます。よく「地頭のいい人」というのは生まれながらに持った先天的能力や頭の良さを指して言われることが多いですが、ここでは後天的に身につく力だとしています。

 

「問題を解決しよう」という知的好奇心を基盤とし、筋道を立てて物事を考える「論理思考力」と、ひらめきを伴う「直観力」をベースとしたうえで、「結論から考える」仮説思考力、「全体から考える」フレームワーク思考力、「単純に考える」抽象化思考力の3つから構成されるのが地頭力だと。

 

結論から、全体から、そして単純に考えることによって、圧倒的に生産性を上げ、コミュニケーション上の誤解を最小限にできる。さらには、少ない知識を応用して新しいアイデアを生み出しやすくなるという効果も期待できる、というすぐれものです!

 

僕たちは、膨大な情報にふれられ、情報の陳腐化が激しくなり、過去の経験が未来の成功に役立つとは限らない時代になってきました。

 

未知の領域で問題解決を図る能力という点で、地頭力はますます重要度を増してくると思いますので、一度、「フェルミ推定」は知っておいてもいい思考法じゃないかと考え、紹介します。じゃ、「フェルミ推定」とは何かというと、とらえどころのない数量を、論理的に短時間で概算する方法を指します。

 

ChatGPTなどの生成AI、その先のAIエージェントの活用が世の中で当たり前になればなるほど、今後は、何が正しい情報で何が誤った情報なのかを「自分で考える」、これを習慣化する必要があります。そのために地頭力を高めましょう、その手段としてフェルミ推定でトレーニングすることが効果的です、という流れです。

 

「自分で考える」という習慣は、「問題解決」を必要とするビジネスパーソン、「考える力」を向上させたいと考える学生などに共通したものです。

 

一方で、「自分で考える」ことができていない人がいるわけで、それはどんな人なのかをこの本ではタイプ分けして示してくれています。

 

①   検索エンジン中毒者

「頭が働くより先に手が動いてネットの検索エンジンにキーワードを入力している人」「検索結果を鵜呑みにして、そのまま答えとしている人」「その結果として考える力が退化している人」などです。

 

②   完璧主義者

「どんな状況にあっても期限より品質を優先させる人」「効率は二の次で、正確かつ十分な根拠を持てるまでは決して結論を出さない人」などが当てはまります。

 

会社にいるスタッフなら、品質のために締め切りをよく遅らせたり、不十分な情報では作業に着手できなかたり、精度が低い結果を出すぐらいなら何も出さない方がよいと思っている、といった人が当てはまります。

 

③   情報収集マニア

分析や集計作業をする際にとにかく情報を集めたがる人です。例えば「常に仮説より先に情報を集め始める人」「結果として、使われない情報を山のように収集している人」「時として情報の洪水に溺れて何をしているのかわからなくなる人」などが当てはまります。

 

④   猪突猛進タイプ

周りが見えずに自分の視野だけを頼りにひたすら猛進する人です。馬力はありますが、時として周りから不安視されるタイプです。

 

例えば、「自分の思い込みで暴走し、時として周りからストップがかかる人」「他人に対する説明や文書がひとりよがりでわかりにくい人」などが当てはまります。

 

⑤   部分最適を考える人

例えば、「全体の最終アウトプットを意識せずにとにかく自分の範囲だけを完璧に仕上げることに専念する人」「その結果として必要以上に詳細なことに労力を費している人」などが当てはまります。

 

⑥   経験至上主義者

具体的には、「自分の経験のみを行動のよりどころとしている人」「自分の置かれた環境を実態以上に特殊だと思っており、他者(他社や他業界)から学べることはないと思っている人」「事象を一般化して議論することは嫌いな人」などが当てはまります。

 

●フェルミ推定の例題

それでは例題を出しますのでチェレンジしてみてください。
 

「世界中のマクドナルドの年間売り上げの合計は何ドルか?」です。

※解答に際してのルールは、以下の2つです。

・制限時間5分(厳守)

・ネット検索は不可

 

 

それでは解答例です。

「フェルミ推定」というくらいですから、あくまで推定であって、解答はひとつとは限りませんのであくまでもここでは「例」としています。がしかし、手順は「型」として学んでおいた方がいいので、そこは他の事例でも活かせるようにしておきましょう。

 

手順は、

①   アプローチ設定

②   モデル分解

③   計算実行

④   現実性検証

となります。

 

①   アプローチ設定

大きく2つのアプローチが考えられます。1つはマクロから、つまり世界人口から「1人当たり年間どの程度食べるのか?」を考える方法です。もう1つはミクロの視点で、店舗ごとの来店客数を考え、それに世界の店舗数をかけるというやり方も考えられます。今回は後者(ミクロ)で考えてみます。

 

ちなみに、マクロアプローチは、「頻繁に食べるグループ」「中程度に食べるグループ」「ほとんど食べないグループ」といった形で大きく分類して、グループごとにその人口と来店頻度および平均購入単価から算出することができます。

 

②   モデル分解

1日当たり1店舗の売り上げ × 世界の店舗数 × 年間日数 = 年間売り上げ

 

とシンプルに考えます。これが、1店舗の売り上げであれば、1日の来店客数×客単価とします。

 

また、世界の店舗数の算出には複数のモデルが考えられます。例えば日本の店舗数を算出してから世界に展開するとか、といったやり方です。

 

③   計算実行

まず1日当たりの1店の売り上げは次のように仮定して算出します。

 

・1日を繁忙時間帯(5時間)と非繁忙時間帯(15時間)に分ける

※繁忙時間帯は、朝食時1時間、ランチタイム2時間、ディナータイム2時間

 

・カウンター(キャッシャー)当たりの顧客数は、

繁忙時間帯が60人/1時間

非繁忙時間帯が30人/1時間

 

・カウンター(キャッシャー)の数は、

繁忙時間帯が3台

非繁忙時間帯が2台

 

・顧客単価は、

繁忙時間帯が5ドル

非繁忙時間帯が2ドル

 

上記の前提での計算式は、以下のようになります。

 

●60人×3台×5時間×5ドル=4500ドル

 

●30人×2台×15時間×2ドル=1800ドル

 

●4500ドル+1800ドル=約6300ドル(=1日当たりの1店の売り上げ)

 

もしここまでを5分で計算するのは厳しいと考えるのであれば適宜まとめて(例えば繁忙時間帯と閑散時間帯を分けずにざっくり平均値で算出するとか)計算をシンプルにすることもできます。

 

マクドナルドの店舗数の分布は、

・密集地域が1店/5万人

・非密集地域が1店/20万人

・店がない地域が0店

 

世界の店舗数は世界人口から推測して、

 

・密集地域が10億人/5万人 ≒ 2万店

・非密集地域が20億人/20万人 ≒ 1万店

・店がない地域が0店

 

2万店+1万店+0店=3万店(=世界の店舗数)

 

以上から、年間売り上げの合計は以下のように算出できます。

 

約6300ドル(=1日当たりの1店の売り上げ)× 3万店(=世界の店舗数)× 365日(年間日数)≒ 690億ドル(=年間売り上げ)

 

④   現実性検証

実際のマクドナルドの年間売り上げは2019年度のアニュアルレポートでは、直営店の売り上げ〈94.21億ドル〉とフランチャイズ店の売り上げ〈907.57億ドル〉の合計の概算から約996億ドルとなります。さらに同資料から世界の店舗数は3万8695です。

 

「ざっくりと短時間で概算して桁の感覚をつかむ」というのが、フェルミ推定ですので、この程度で十分です。

 

●「結論から、全体から、単純に」考えたか

みなさんは、おそらく、はじめに例題を読んだときは「見当もつかない問題だ」と思った方もいるかもしれませんが、少しずつ解きほぐしていけば、常識的な知識の範囲で、「桁の感覚をつかむ」程度の誤差までにはたどり着けたと思います。

 

①   アプローチ設定、②モデル分解、③計算実行、④現実性検証のプロセスで、「結論から、全体から、単純に」考えることができたか。「結論から考える仮説思考力」「全体から考えるフレームワーク思考力」「単純に考える抽象化思考力」を駆使してのトレーニングになったと思います。

 

このようにフェルミ推定は、実際のビジネスの場面でも直接的に役立てられる場面がとくに仕事の川上、つまり「ざっくりと概要をつかむ」場面で活用することができるので、是非、活用してみてください。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

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