事業部門の損益検証(買収劇その4)
さて、パソコントラブルや出張などで、長らく更新せず申し訳ありません。
今回は、題記にもあるとおり、買収対象会社の損益推定です。
通常はDue dilligence を通じて、実際の評価を行うわけですが、ほとんどのケースは交渉の速度UPの都合上、におおまかに予測して、事前交渉に臨まなければならないのが実情です。
Due Dilligence以前の交渉で、先方は、「単純な投資対象ではなく、(当社が)製品シナジーをどれくらい評価しているか(=どれくらい魅力を感じているか)」が先方にとって測りやすくなり、また先方は、なるべくデューデリ前にいろいろな情報交換を行いたく、都合の悪い情報はなるべく”後出し”にしたいからです。
今回は、ブログであるため、あくまで大まかに説明します。
事業を行うためには元手が当然必要であるため、まず元手を予測して積み上げます。
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1)人件費: 当社の欧州駐在員より、雑誌や現地日系コンサルタントの発行する人件費情報を入手します。技術系なら幾ら、工場労働者なら幾らぐらい、、等
2)工場資産: 押出機がいくらぐらい、延伸機がいくらぐらい、品質管理設備がいくらぐらい等の情報は社内で入手できます。後は、かつて工場見学を行った人間がいるので、おおよその台数等は見学者の出張レポートを参照するか、見学者本人にインタービューします。*前回土地まで償却してしまいましたが、これは誤り。土地は減価しない資産として計上しても毎年の損益推定には差し支えありません。
3)毎年の補修費:取得価格の2%
4)金利:地域によりますが欧州大口向け貸し出し金利を使用します。
5)固定資産税・地方税:取得価格の1.7%
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だいたい、これぐらいで、その事業を行うにあたっての毎年の費用(固定費)が計算できます。9.1億円/年と推測しました。(買収劇その2参照)
次に売上ですが、同製品市場での平均的な限界利益率を適用して、固定費÷限界利益率(例えば40%)として推測します。
9.1億円÷0.4≒23億円
つまり、9億円もの元手をかけた場合、売上高は最低でも23億円ないと事業として続かないことを意味します。
売上 23億円
限界利益 9億円(40%)
固定費 9億円
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事業損益 ±0
おおよその製品分野の限界利益率と設備資産・人員がわかれば、必要な売上高は、もはや推測ではなく公式と言っても良いぐらい簡単に導き出せるのです。
後は、これにすでに知られている情報と、市場関係者の証言を踏まえたうえで、
今回は3.1億円の赤字と推定したのです。逆算して売上高は15億円となりました。
この予測が合っているかどうかは、10月上旬に弊社役員が欧州に渡って交渉をする際おおよそわかるので、そのときまた更新させてください。
▲3.1億円/年という事前の推定数字がその役員の交渉前の情報として非常に有用であることは言うまでもありません。
パソコンの調子がおかしい
伝言
金曜日の夜からインターネットエクスプローラーが突如使えなくなってしまい、
自宅から返信等できない状況が続いています。来週には復旧する予定です。
なぜか、スカイプは利用できるようです。
i-tuneとインターネットエクスプローラは駄目です。
マンションのほかの住人が見れるとなると、私だけとなるので、
そうなると、いよいよウイルスなのかなぁぁぁ。
まいったなぁ。明日管理人さんに聞きます。
事業部門の損益推定(買収劇その3)
損益の推定ですが、
買収対象はあるホールディングカンパニーが所有するLLC(有限責任会社)の欧州部門です。実は、今回ホールディングカンパニーの会長が退職するにあたって、キャッシュを得るために、事業の分割売却を考えているという情報が、弊社役員に直接告げられ今回の買収検討となったのです。
しかしながら、先方にも思惑があり、正式なFS→デューディリジェンスと進む前に水面下の攻防がつづいています。先方は単なる分割売却では無く当社事業との一部交換もしくは当社事業分野でのJVをこれを機会に欧州でいっしょに行いたい旨の意思表示があったからです。
さて、
LLC(以下単に”LLC”と表現します)自体の損益はわかっています。ここ3年で買収を繰り返し資産は5千万ドル(55億円)から8千2百万ドルに跳ね上がっています。税前利益推移も分かっています。
しかしながら、そのLLCの欧州部門の損益はまったくわかりません。
欧州部門は具体的には、欧州本部機能と工場を擁していることが分かっています。
押出機7台(5台は従来製品用、2台は買収した旧英国企業の製品用)、大型延伸機1台です。その他含め会社資産はざっと推定して25億円というところです。
その会社の歴史も調査しました。
1999年にそのLLCは欧州進出を決断しました。理由はある衛生関係製品を製造・販売する大企業からの要請で欧州に拠点をつくり材料を供給してほしいというものです。
しかしながら2000年、LLCは大手衛生製品会社よりLLC製材料の不採用を通告されました。現時点で詳しくはわかりませんがいくらかの違約金が支払われたかもしれませんが、その大手会社は米国でも当該LLCの重要顧客であるため、LLCが満足するような違約金は支払われなかったと仮定しています。
工場は2001年完成し、その後、ある英国企業を米国本社LLCが買収し、工場資産は30億円に膨らみました(ホールディングカンパニーのアニュアルレポートの資産増加のタイミングから推定した額です)。
2002年に当社の米国社長がLLCの幹部との会話の記録があります。
「2002年時点での同社の売上は欧州だけで5億円、そのほか中東やインド・韓国・中国向けをあわせてもせいぜいトータルで10億円程度でしょう。」従業員は40名程度だそうです。
2008年現在の従業員の情報も掴めています。工場労働者が40名、管理部門10名合計50名です。
ここで現在の損益の仮説を立てました。
2007年
固定費(設備費) 3億円(設備・土地等 総平均10年償却)
固定費(人件費) 5億円(50人x1000万円)
補修費 0.5億円
資産税等 0.6億円
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合計 9.1億円
売上 15億円
限界利益 6億円
固定費 9.1億円
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赤字額 3.1億円
実際にこれがあっているかどうかの検証は実はこれからです。
2002年からの売上が、年平均8.4%伸びたことを意味します。
次回は、この仮定の検証を行います。