事業部門の損益推定(買収劇その3)
損益の推定ですが、
買収対象はあるホールディングカンパニーが所有するLLC(有限責任会社)の欧州部門です。実は、今回ホールディングカンパニーの会長が退職するにあたって、キャッシュを得るために、事業の分割売却を考えているという情報が、弊社役員に直接告げられ今回の買収検討となったのです。
しかしながら、先方にも思惑があり、正式なFS→デューディリジェンスと進む前に水面下の攻防がつづいています。先方は単なる分割売却では無く当社事業との一部交換もしくは当社事業分野でのJVをこれを機会に欧州でいっしょに行いたい旨の意思表示があったからです。
さて、
LLC(以下単に”LLC”と表現します)自体の損益はわかっています。ここ3年で買収を繰り返し資産は5千万ドル(55億円)から8千2百万ドルに跳ね上がっています。税前利益推移も分かっています。
しかしながら、そのLLCの欧州部門の損益はまったくわかりません。
欧州部門は具体的には、欧州本部機能と工場を擁していることが分かっています。
押出機7台(5台は従来製品用、2台は買収した旧英国企業の製品用)、大型延伸機1台です。その他含め会社資産はざっと推定して25億円というところです。
その会社の歴史も調査しました。
1999年にそのLLCは欧州進出を決断しました。理由はある衛生関係製品を製造・販売する大企業からの要請で欧州に拠点をつくり材料を供給してほしいというものです。
しかしながら2000年、LLCは大手衛生製品会社よりLLC製材料の不採用を通告されました。現時点で詳しくはわかりませんがいくらかの違約金が支払われたかもしれませんが、その大手会社は米国でも当該LLCの重要顧客であるため、LLCが満足するような違約金は支払われなかったと仮定しています。
工場は2001年完成し、その後、ある英国企業を米国本社LLCが買収し、工場資産は30億円に膨らみました(ホールディングカンパニーのアニュアルレポートの資産増加のタイミングから推定した額です)。
2002年に当社の米国社長がLLCの幹部との会話の記録があります。
「2002年時点での同社の売上は欧州だけで5億円、そのほか中東やインド・韓国・中国向けをあわせてもせいぜいトータルで10億円程度でしょう。」従業員は40名程度だそうです。
2008年現在の従業員の情報も掴めています。工場労働者が40名、管理部門10名合計50名です。
ここで現在の損益の仮説を立てました。
2007年
固定費(設備費) 3億円(設備・土地等 総平均10年償却)
固定費(人件費) 5億円(50人x1000万円)
補修費 0.5億円
資産税等 0.6億円
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合計 9.1億円
売上 15億円
限界利益 6億円
固定費 9.1億円
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赤字額 3.1億円
実際にこれがあっているかどうかの検証は実はこれからです。
2002年からの売上が、年平均8.4%伸びたことを意味します。
次回は、この仮定の検証を行います。