皮膚の変化……ステロイド薬の全身的な副作用(10)
こんにちは。橋本です。
ステロイド薬を長期間、多く投与すると、皮膚の変化が目立つことがあります。
塗り薬の形である、ステロイド外用薬でも、使い方によっては皮膚に副作用があらわれることがありますが。
ステロイド薬の内服は全身に作用するため、同じような皮膚の変化、皮膚への副作用が出ることがあります。
ざ瘡(ざそう)、多毛(たもう)
ス テロイド薬の投与が続くと、ホルモンバランスに変化がおきるため、ざ瘡(ざそう)、多毛(た もう)を生じやすくなります。
ざ瘡というのは、いわゆるニキビ。
そして、多毛は、体毛が濃くなる現象。
口の周りなどをはじめ、体毛が濃くなることがあるのですが、出る場所は人によってまちまちで、もちろん多毛が出ない人もいます。
ニキビについても、同様です。
また、ステロイド薬の免疫をおさえる作用で、毛包炎(もうほうえん)が場合によっては広がることもあります。
気をつけたいのは、毛包炎の見た目が、ざ瘡に似ている点です。
それにもかかわらず、ざ瘡と毛包炎は、治療方法がまったく違います。
ニキビ状のものが広がった場合は、お医者さんによく診察してもらい、
ざ瘡なのか?それとも毛包炎なのか?
きちんと区別してケアをしないと、なかなか治らないことにもなりかねません。
皮膚萎縮、血管が透けて見える
ス テロイドを長期間、多くステロイド薬を内服していると、皮膚の菲薄化(ひはくか)といっ て、「皮膚が薄くなったような感じ」が出てくることがあります。
これを皮膚萎縮(ひふ・いしゅく)とよんでいます。
皮膚萎縮は、ステロイドの内服だけでなく、ステロイド外用薬を不適切に使った場合にも出ることがあります。
ただし、外用薬の場合は、「薬の強さ(ランク)」「どれだけ(期間)」「どのように(塗り方)」に注意して、症状に合った適切な使い方をすれば、皮膚萎縮がおこるこ とはありません。
塗った部分以外に皮膚萎縮がおこることもありません。
ステロイド薬の内服で皮膚萎縮がおきてくると、皮膚の下にある毛細血管が透けて見え、目立ってくることがあります。
投与が長期の場合、皮膚が乾燥しやすくなるケース(乾皮症:かんぴしょう)もあり、その場合は保湿剤などのケアで対処することができます。
また、皮膚の菲薄化(ひはくか)が強くなると、外側からのちょっとした衝撃で内出血をおこしやすくなるため、あざができやすくなります。
ただし、乾皮症や皮膚の強い菲薄化は、一般的には子どもよりも高齢者でおきやすいことが知られています。
皮膚線条だけは、回復しにくい
皮膚にあらわれる変化には、ほかに皮膚萎縮線条といわれるものがあります。
皮膚萎縮線条(ひふいしゅく・せんじょう)、があらわれやすいのは、わき周り、股周り、おなかなど、皮膚が薄く柔らかく、伸び縮みしやすいところ。
その部分の皮膚のコラーゲンが変性することによってできる妊娠線のような線。
それが皮膚萎縮線条です。
多毛、ざ瘡、それから皮膚萎縮などは、もともとの症状がおさまったのを確認してから、ステロイド薬の内服を中止すれば、徐々に回復してきます。
しかし。
皮膚萎縮線条だけは、なかなか回復しにくい、元に戻らないことが知られています。
皮膚萎縮線条は、皮膚の深いところの組織が断裂することでおきるので、元に戻るのが難しいんですね。
ただ、皮膚萎縮線条は跡が残りやすいものの、それが原因で体の機能に異常が出ることはありません。
いかにスムーズにその先、薬を減量していくか
とはいっても、肌に跡が残ると言われれば、ちょっと抵抗がありますよね。
ですが、皮膚萎縮線条を避けたいからといって、ステロイド薬の内服を自己判断で中止するのは危険です。
急に中止すれば、元々の病気の再発が心配されるからです。
ある日急に皮膚萎縮線条が一気に進行する、なんてことはまずありません。
「皮膚萎縮線条が出たから薬を止めたほうがいいのか?」
ではなく、いかにスムーズにその先、薬を減量していくか、検査結果や症状の変化などを元に、お医者さんとよく相談することが重要です。
ステロイド薬を大量に飲み始めると肥満傾向があらわれやすいこともよく知られています。
この肥満が目立ってくると皮膚が伸ばされやすいため、余計に皮膚萎縮線条が出やすくなります。
その意味では、食欲をある程度セーブするのも、皮膚萎縮線条をおこしにくくする対策のひとつともいえます。