湿疹のあとが黒くなるんだけど?
こんにちは。橋本です。
なんとか湿疹が治ってきた。
せっかく治っても、その後に黒い色素沈着が残ることがあります。
黒い色素沈着は、皮膚トラブルを繰り返さない限り、時間をかけて薄くなってきます。
しかし、湿疹が強ければ強いほど、湿疹が繰り返せば繰り返すほど、色素沈着も濃くなります。
だけど、なぜ黒い色素沈着がおこってしまうのでしょうか?
炎症後色素沈着
色素沈着の原因には様々なパターンがあります。
その中でも、湿疹のあとにできるものは「炎症後色素沈着」です。
「炎症後色素沈着」は、その名のとおり、皮膚に炎症がおこった後にできる色素沈着。
原因は「皮膚に炎症がおこること」にあります。
皮膚に炎症がおこるのは、なにも、湿疹だけではありません。
日焼け、やけど、虫刺され、ニキビなども、皮膚に炎症をおこします。
だから、このような症状も、皮膚に黒い跡を残すんですね。
しかし、蕁麻疹のような炎症では、ふつう色素沈着はおこりません。
「強い炎症」「繰り返す炎症」が、やはり炎症後色素沈着の原因だと考えられます。
炎症後色素沈着のメカニズム
皮膚に炎症がおこると、「表皮」、その下の「真皮」、さらにその下の「血管」までダメージがおよぶことがあります。
炎症後色素沈着に関係あるのは、このうち「表皮」へのダメージ。「表皮細胞」へのダメージが関係しています。
新しい表皮細胞が細胞分裂で作られる層が「表皮」のいちばん底、基底層。
その基底層には、表皮細胞36個に約1個の割合で、色素細胞(メラノサイト)がまぎれています。
この色素細胞がつくりだす「メラニン」といわれる色素によって、肌の色が調整されています。
「メラニン」っていうのは、よく耳にしますよね。
普段、色素細胞のメラニン合成は、周りの表皮細胞によってコントロールされています。
しかしそれが、炎症によって表皮細胞がダメージを受けると、このコントロールからはずれてしまいます。
そうすると、色素細胞が、メラニンを余分につくり出してしまうんですね。
そのため、炎症の赤みが引いてきたときに、余分なメラニンが黒い色素沈着としてあらわれる、というわけです。
「皮膚に炎症がおこることで、メラニンという黒い色素がばらまかれる」
シンプルにいうと、そんなイメージです。
炎症後色素沈着をなくすには
この「炎症後色素沈着」を薄くするのに必要なのは、「時間」です。
簡単にいってしまえば、自然に薄くなるのを待つしかなく、色素沈着を完全、確実になくしてしまう治療法というのは、まだありません。
保険診療では、トラネキサム酸(トランサミン)、アスコルビン酸(ビタミンC)などの飲み薬を使うこともできます。
さらに、保険は効きませんが、自由診療にも、多種多様な治療があります。
ハイドロキノン、レチノイン酸などのクリーム、レーザー治療などを組み合わせたものがそれです。
ただし、高濃度ハイドロキノン、レチノイン酸などは、刺激性があるので、場合によってはアトピーが悪化することも考えられます。
そのリスクも考えた上で、使うかどうかは、お医者さんとよく相談してから決めるのがいいですね。
そして、そもそもの話ですが。
アトピーの湿疹では、皮膚の炎症を繰り返さないように、うまく炎症をコントロールすること。
それも炎症後色素沈着を最小限におさえるためには、大事になってきます。