なぜ「セラミド」が重要なのか?
こんにちは。橋本です。
アトピー性皮膚炎患者の皮膚では、「セラミド」が少なくなっています。1)
意外なのが、セラミドが少なくなっているのは、症状があるところだけではないこと。
健康な肌の人に比べて、アトピーの人は、湿疹のない場所でも、セラミドが減っていることが確認されているんですね。2)
そうすると、アトピーとセラミドは、何か大きな関係がありそうな気がしますよね。
よく、セラミド、セラミド、と簡単にいいますが。
では、「セラミド」とは、いったい何でしょうか?
細胞間脂質
肌のいちばん外側にあるのが角層(角質層)。
その中の細胞と細胞のすき間をぴったりと埋め、水分をがっちり捕まえているもの。
それが「細胞間脂質」という油分です。
油分が水分を包み込む細かな層をつくり、レンガのように並ぶ角質細胞をつなぎとめる。
「細胞間脂質」には、セメントのような接着する役割があります。
角層の上にいくほど、細胞間脂質は少なくなります。
そのため接着力が弱くなり、いらない角質細胞は「アカ」として自然にはがれ落ちるしくみです。
細胞間脂質の主成分がセラミド
細胞間脂質は、いくつかの脂質成分から構成されています。
その中でも主成分となるのが、「セラミド」です。
セラミドが、角質細胞間脂質の約50%を占めています。
バリア機能と保湿機能
角質細胞間脂質の主成分は、セラミド。
だから、細胞間脂質の役割を支えているのも、セラミドなんですね。
セラミドには2つの能力があります。
ひとつは、角質細胞を接着する能力。
それによって、外部からの刺激から守る「バリア機能」を発揮します。
もうひとつは、水分をがっちりつかむ能力。
それによって、肌の乾燥を防ぐ「保湿機能」を発揮します。
セラミドによってバリア機能と保湿機能が発揮されるわけです。
セラミドが不足すると・・・
つまり、セラミドが不足してくると、外部刺激に対して弱くなり、肌に炎症がおきやすくなります。
同時に、角層中の水分も少なくなるので、肌が乾燥してきます。
セラミドが少ないアトピー性皮膚炎患者の皮膚では、この炎症や乾燥がおきやすくなっている。
だから、アトピーのこどもにとっては、「セラミド」がより重要になってくるわけなんですね。
参考文献:
1) Imokawa G, et al: Decreased level of ceramides in stratum corneum of atopic dermatitis: an etiologic factor in atopic dry skin? J Invest Dermatol, 96: 523-526, 1991.
2) 宮地良樹 編: ドライスキンと保湿のメカニズム. 乳液. クリーム. 保湿剤. 化粧品. 臨床医のためのスキンケア入門, 114-138, 先端医学社, 東京, 1997.