不思議すぎる初夢③~あまりにも神々しく美しい人 | HARMONIES ハーモニーズ(Ameblo版)

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HARMONIES(ハーモニーズ)は、2006年にスタートしたこのブログのリニューアル版です。2011年の東日本大震災、そして昨年末の時空間の大変化を経て、ようやくここにたどり着きました。「調和の創造」をテーマに、新たな銀河時代を生み出していきましょう。

『1時間かそこら走ったと思う。お屋敷はギーッという音を立てて止まった。面会室には窓がなかったので、自分たちがどこまで来たかわからなかった。叔父の話では、多分アントワープの東方面ではないかという事だった。

 

周りは静かで、物音ひとつ聞こえない。すると女主人がやって来て、面会の手順その他について説明を始めた。「まず、これからお会いいただく方は、まるでガラス細工のように繊細な女性です。基準値以上に太った方にご遠慮願っているのは、それだけ体内にさまざまな物質や波動を溜め込んでいるからで、彼女はそれに敏感に反応して面会を止めてしまうのです。皆さんは合格されているので、そのような事はないと思いますが、念のため医師が同席させていただきます」

 

すると、僕たちを診察した数学者のような医師が、今度は白衣ではなくブラウンのスーツに白いシャツと紺色のネクタイで現れた。さっきよりも顔はにこやかだった。手には何かファイルを持っている。僕たちのカルテだろうか? それとも面会内容を記録するためだろうか? 今度は医師が口を開いた。

 

「このように家自体を移動して、静かな郊外に来たのは、街の喧騒から離れるためです。人の多い場所は、さまざまな時空間が交錯し、精妙な精神のバランスを取るのが難しいからです。どうぞご理解いただければと思います」

 

「それでは始めさせていただきます」 女主人が言った。電灯のスイッチで、天井の光は弱くなり(と言ってもそこには電球も何もなかった。天井自体が光っていたのだ)、部屋は少し暗くなった。でも映画館ほどではない。

 

すると、面会室の正面の壁が真ん中から左右に分かれて動き、その向こうに部屋が現れた。幅は3mぐらい、奥行きはかなりあるように思えた。真ん中に背もたれの高い直線的なデザイン椅子がある。ちょっとした舞台のようだ。

 

かすかに歌うような小さな声が聞こえて、舞台の奥からその高貴な女性が非常にゆっくりした足取りでやって来た。「あの人だ!」 僕は思わず小声を出してしまい、母に無言で静かにするように合図された。そう、二階へ上がる急階段の先で見かけたあの女性だった。

 

彼女は明るいターコイズブルーのドレスを身にまとっていた。服も椅子と同じように直線的なデザインで、まるでダイヤモンドの糸のようにキラキラと輝く糸が、何百本も装飾されていた。袖はなく、肩のあたりと、手首のあたりにもそのダイヤモンドの糸が垂れていた。

 

彼女はゆっくりと椅子に座ると、右の手のひらを天井に向け、腕を少し上げて挨拶のようなポーズをした。すると、本人の身体全体がドレスと共に、うすぼんやりとしたライトグリーンに光りはじめた。

 

そこに浮かび上がった女性は、あのモナリザも足元にも及ばないような、あまりにも神々しい微笑みをたたえた、まるで女神さまのような美しい顔をしていた。ギリシア彫刻・・・いやとても比較できるようなものではなかった。

 

髪は上手にまとめ上げられ、その髪すらも光っていた。瞳は優しくこちらをじっと見つめ、誰を見るわけでもないのだが、僕も母も姉もそして叔父も、自分のことだけを見ているような錯覚を覚えた。やがて僕は例えようもなく幸せな気持ちになり、泣きそうになった。

 

美しい人は、何を話すでもなく、ただただじっと僕たちを見つめていた。母と姉はハンカチで目頭を押さえ、叔父は口をぽかんと開けたまま、女性の優しい視線のとりこになっていた。』(つづく)