『竹取物語』の作者はかの菅原道真か?⑤[讒訴への恨み] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 「竜の首の珠」を求めて航海に出た大伴御行の話は、道真と同族の菅原梶成の遭難をモチーフにしたものといえますが、もうひとつ、追加しておきたいことがあります。

 

 大伴御行は、竜から首の珠を奪おうとした罰があたって遭難したのだと反省しています。

 

 そして、それが欲しいといったかぐや姫を「大盗人」呼ばわりしているのが重要です。

 

 そもそも、いくら求婚を断る口実とはいえ、実際にこの世に存在しないものを探させようとする彼女の行為も問題なのです。

 

 5人の中で姫を批判するのが彼だけです。

 

 その一方で、架空の人物ながら、「蓬莱の玉の枝」を課せられた車持皇子は、5人の中で最も狡賢く、探すふりをしつつ、出世とカネで釣り、工人らに偽物を作らせています。

 

 かぐや姫もあやうく騙されそうになりますが、最後には企みがばれて皇子は天下に恥を晒し、身を隠してしまうのです。

 

 彼のモデルが、道真を讒訴したという藤原時平の祖先、藤原不比等だとされています。

 

 一説には、彼の母の名を車持夫人といい、不比等自身、天智天皇の隠し子という噂もあります。

 

 道真がみずからの恨みを少しでも物語を通して晴らそうとしたという筋は成り立つように思うですが……。

(つづく)

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