『枕草子』作者の「破天荒人生」④[専業主婦の社会進出] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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清少納言の夫・則光には、宰相(さいしょう)中将(ちゅうじょう)(ただ)(のぶ)という公卿の屋敷に押し入った狼藉者を召し取ったという(『権記(ごんき)』)ほか夜盗を斬り殺したという武勇伝伝わっています。


『今昔物語集』には、


(つわもの)の家にあらねども、心極めて太くて(中略)身力など極めて強かりける」


 とも記されています。


 武人の家の出身ではないのに、腕力の強さでは、誰にもひけをとらなかったというのです。


兄の至信といい、夫の則光といい、清少納言の周囲の男性はなぜか、武士顔負けの勇者が揃っています。


ところが、漢籍や和歌に通じる清少納言は、武辺一辺倒の夫に不満を抱いていたようです。


婿の七光り”で肥後守に就いた父元輔が生きていたならまだしも、永祚(えいそ)年(990)に父が任地の肥後でなくなると、離婚の決意は固くなります。


仮に父親が亡くなった年に離婚していたとすると、清少納言はすでに二十五歳。


当時としては年増といえる年齢ですから、それだけでも十分に常識破り。

そのうえ彼女は離婚後、中宮(ちゅうぐう)定子(ていし)(藤原道隆の娘)の女房として宮廷に出仕しています


いわば、いちども就職したことのない“専業主婦”が離婚後しばらくして、突如として社会の表舞台に登場するようなものです。


しかし、彼女は、才気煥発。たちまち、定子の信頼をえます。


(つづく)





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