『枕草紙』作者の「破天荒人生」①[源頼親の復讐] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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秋は夕ぐれ。夕日のさして山の()いと近うなりたるに、(からす)のねどころへ行くとて(中略)飛びいそぐさへあはれなり。


古典文学の名作『枕草子』は、日本の季節美を讃える文章ではじまります。


春は曙、いまの季節(秋)は夕暮れ時がおもしろいというのです。


作者はご存じ、清少納言。


紡ぎだす繊細な文章とは裏腹に、彼女の逸話からは、猛女としての一面が顔をだしています。


あるとき、源(より)(ちか)(摂津源氏の一族)の手の者が清少納言の兄清原致(きよはらのむね)(のぶ)の屋敷を囲みました。


これは、致信の知人に“子分”を殺され頼親の復讐だったといいますから、ヤクザの抗争も顔負け。


平安時代でも、けっこう荒っぽいことがおこなわれていたのです。


それはともかく、致信の屋敷を囲んだ頼親の手勢は馬上の者七、八名と徒士(かち)の者十余人。


襲撃時、清少納言はたまたま兄の家に同宿していました。


そして、男法師と間違われ、殺されかけたというのです。


男と間違われる清少納言の容姿はどうだったのかと、思わず想像したくなりますが、このとき彼女はすでに宮仕えを引退したあと。


当時の推定年齢は五十歳。


清少納言は尼僧の恰好をしていました。


つまり、頼親の手勢は、尼僧(女)の彼女を僧侶(男)だと見誤ったのです。


このとき、清少納言はある破天荒な行動にでます。

(つづく)



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