「江戸の盗賊列伝」(雲霧編)③[大岡越前の名を騙る] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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仁左衛門の手下の二人、小猿と三吉は金で雇った者らとニセ役人になりすましました。


そして、「江戸南町奉行所大岡越前守様」組下の配下の者だと名乗り、文蔵夫婦の前に現れます。


彼ら雲霧一味の者らは、文蔵夫婦に関所破りした事実が大岡越前守の耳に入ったから、召し捕りにまいったと告げます。


そうして文蔵の家財道具はおろか、土蔵も封印してしまうのです。


文蔵夫婦が顔面蒼白になるのも仕方がありません。


一味の者らは、文蔵夫婦が慌てる隙に乗じ、封印した土蔵の中に忍び入り、一一八〇両の大金を盗み取ったのです。


仁左衛門と小猿・三吉の三人は、その金を元手に江戸で思い思いの生活をはじめます。


仁左衛門は本郷六丁目で甲州屋という商人となって成功し、肥前の小猿も肥前屋として本町二丁目で呉服を商いはじめました。


しかし、向こう見ずの三吉だけは“飲み・打つ・買う”の毎日で、持ち金を全部使い果たし、昔のよしみで何とかして欲しいと仁左衛門や小猿に泣きついてきました。


初めは二人も三吉の面倒をみていましたが、きりがありません。


三吉のために二人の身代が揺るぎはじめたのです。


そこで仁左衛門が小猿と謀り、三吉を呼び出して殺してしまいます。


しかし、二人は三吉にむしり取られた分を取り返そうと、ふたたび盗みを企むのです。


(つづく)



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