本当は実力者だった?「信長の不肖のせがれ」④[”聖域”なき改革] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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信雄の前半生は“不肖”ぶりを如何なく発揮しているといえます。


しかし、意外な一面もありました。


清州会議で尾張と伊勢を与えられると、父信長さえできなかった土地制度改革に挑んでいるのです。


そのひとつが寺社領の没収でした。


信雄の領国には著名な伊勢神宮があって、日本中の尊崇を集めています。


信雄はその伊勢神宮の領地を没収して家臣に与えたのです。


これに驚いたのは伊勢神宮の神官。


信長の生前、すでに伊勢は織田家の領国となっていましたが、さしもの革命児・信長もこの“聖域”には手を出せませんでした。


ところが、突然の信雄の改革に伊勢神宮の神官は驚き、


「今般、神税をもって人給に付け置かるべく御定(おさだめ)これある由、すこぶる驚怖(きょうふ)の至りなり」

 

 と絶句しています。


 尊い「神」の税金を「人」(信雄の家臣)の税金に付け替えるとは、もはや、驚きや恐れ多いという次元を通り越しているというのです。

 

 また、尾張でも信雄は、父信長の時代の土地制度を一歩進めた改革をおこなっています。


(つづく)




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