『サンダーボール作戦』を観ました。
NATOの爆撃機が原爆を搭載したまま消息を絶った。
その後、イギリス政府にスペクターと名乗る組織から連絡が入る。1週間以内に1億ポンドを支払わなければ先の原爆でを使うというのだ。MI6はボンドを含めた全てのOO課員に原爆の探索を命じる。
バハマ諸島に飛んだボンドは、爆撃機を操縦していたダーヴァルの妹ドミノと知り合い、彼女を愛人に持つラルゴに行き着く。ラルゴはスペクターのNo2であり、今回の事件の立案者だった。
兄を殺したラルゴを憎むドミノの協力を得ながら原爆を探し続けるボンドだが、残された時間は迫りつつあり……といったお話。
要約すると、ボンドが隠された原爆を探しだそうとする話です。
OO7シリーズ第4作。
この頃になると尺も2時間を超え、ド派手なエンタメ作品に昇華しました。OO7はこうでなきゃ!
そして、これは第1作『ドクター・ノオ』の擦り込みが強いせいなんでしょうかね、個人的にOO7シリーズって海が舞台だと心浮き立つんですよ。
思い返してみれば海を背景にした画が多くないですか? 実はボンドは海との結び付きが強いのかもしれませんね。製作陣は1ミリも気にしてないと思いますが…。
そんな今作はTHE 海!って感じの作品。
本作最大の見どころと言えば、本編の1/4を占めるという水中のシーンでしょう。
中でもクライマックス、地上であれば合戦のシーンに相当する、何十人単位のダイバー同士の水中戦は圧巻です。
映画史上としても、こうまでの多人数いによる水中戦を描いた映画ってあります?
そしてスペクターだけじゃない、危険動物も相手にせにゃならんのだから、この頃のボンドの仕事は想定外のものが多かったんだなぁと(笑)。
…が、安心して下さいボンドさん。昨今じゃあんな路線に走るようになっちまったので、猛獣を相手にする機会なんかもうありませんから……せせこましいシリーズになっちまったモンだよ、ったく。
今作の敵であるラルゴはスペクターのナンバー2で、原爆を利用して世界を脅迫する実力者です。
後ろでふんぞり返って命令を下すだけではなく、自ら陣頭を切って行動する姿は頼りがい(?)がありますね。
眼帯をしているのがパッと見の特徴ですが、悪の親玉は身体に障害を抱えているのがOO7シリーズあるあるです。
この4作目までの歴代ボスを振り返ってみると…。
・ドクター・ノオ → 両手首
・クレッブ → レズ
・ゴールドフィンガー → メタボ
・ラルゴ → 左目
チト強引なところもあるけど(笑)。
身体的なコンプレックスが彼らを犯罪に走らせているのかもしれません……と、無理矢理こじつけてみる。
ラルゴの移動基地とでも呼ぶべきディスコ・ヴォランテ号は見どころの一つ。
パッと見では大きめのクルーザーなんですが、船の良し悪しなんか分かんない俺ッチでもカッコ良く見えます。
その上、ボンドカーもビックリするような機能まで搭載しているんだから、敵メカながらアッパレです。
こちらのデザインはシリーズの常連、ケン・アダムスさんによるもの。
元々アダムスさんはプロダクションデザインを担当していて、となると部屋の内装、いわゆるセットをデザインする仕事に思いがちですが、この頃は今ほどの分業制ではなかったらしく、ちょっとしたメカデザインまでこなすんだから、何とまぁ多才! 原爆を搭載する水中艇も洗練されている上に本物感があります。
シンプルでレトロなセンスも好きなので、この人の画集とか欲しいんだよなぁ。
ちなみに本作にはリメイク版があるのは有名です。『ネバ―セイ・ネバアゲイン』ね。
**********
**********
**********
権利に関するメンドくせ―話から生まれた、少々あてつけがましい作品に思えます(笑)。
ボンド役はもう嫌だとさんざん言ってたショーン・コネリーさんが、シレッとボンドを再演しているのも何だかなぁって感じですが、OO7を離れて数年が経ち、少し客観視できるようになれた結果なんでしょうね。
本家はイギリス作品ですが、こちらはアメリカ作品っぽさが色濃く見えます。
さらに本作には、もう一つのお話がありまして…。
大まかな粗筋は同じですが、たかを節が利きすぎているのが最高です。
それもそのはず、粗筋を他人から聞いた上で、あとは自分の想像や解釈で描いたってんだから、原作改変だ!と声高に叫ぶのを生業としているバカたちも言葉を失うでしょう(笑)。
原作者のイアン・フレミングさんも、この程度のものに目くじらを立てるような人ではないと思うけど…。
**********
**********
この復刻版も、もう10年前の発売だったんだなぁ。興味のある人は探してみて下さい。
クッソ古い漫画という一言で片付けるには惜しいほどに光る描写はいくつかありますよ。いくつか。
**********
**********
**********
Blu-ray版は相変わらず映像特典満載です。