…以前に言及した通り、『OO7 スペクター』で抱いたモヤモヤを解消するため、シリーズ8作目=ロジャー・ムーアさんが初登板した『死ぬのは奴らだ』が久々に観たくなったなぁ。
Blu-rayを引っ張り出すのもメンドーなので、とりあえずはコレで心を静めるか…。

…とととっ、東郷ちゃんっ?
どーしたの、いつになくこんなに破顔しちゃって…!
――お断りしておきましょう、これはゴルゴ13=デューク東郷さんではありません。
なら一体、誰なのっ?と聞かれれば、
「ボンド、ジェームズ・ボンド」
…はぁ?とお勘繰りの皆さんに、そろそろお教えしましょう。

漫画、もとい、劇画版『OO7 死ぬのは奴らだ』に登場するボンドさんです。
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俺ッチも知らなかったんだけど、かつて、さいとう・たかをさんがOO7の劇画を描いていたんだね~。
この復刻版、よくコンビニに置いてある傑作選的な、質の悪い紙を使っているかと思いきや、紙質は並みながら、印刷は実にキレイです。
苦言を呈するとするなら、初出時期のデータがない点が惜しまれます。
さいとう版ボンちゃん。カッコ良いです。
この精悍さを見れば、おそらく日本人の9割は東郷さんを連想しがちでしょう。
後に、身なりを整えるために散髪するんですが、
まんまやんけっ(笑)。
角刈りのイギリス人って、あまりお目に掛かれないので貴重です。
さいとう・たかをさんと言えば、二つ返事で『ゴルゴ13』。
さいとうさんの絵柄を以てして“劇画”と呼ばれるような風潮がありますが、個人的には映画的な見せ方をしているのも“劇画”たる所以ではないかと思っています。“画風”と言うより“作風”ね。
手っ取り早いところで例えると、多くのエピソードのクライマックスになる狙撃シーンを省略したりとか、観客(=読者)の想像に委ねるような描写が多いんですよ。
単行本の一桁台の巻、つまり1970年(not70年代)前後の時点でそんなスタイルが既に確立されているんだから、なるほど今という時代に読んでも面白いのも納得。
さいとう版OO7にも、そんな期待を抱いてましたが……この辺はチト肩透かしの感が否めません(笑)。
ただ、ここで見直すべきは時系列。
イアン・フレミングさんの原作が発表されたのは1954年。
映画版が公開されたのが1973年(第1作『ドクター・ノオ』の公開は1962年)。
そして、さいとう版が発表されたのが1964年――つまり、単なる映画版のコミカライズではないのが着目すべき点(余談ながら『ゴルゴ13』の初出は1968年)。
なので、さいとう版と映画版に似たシーンがあったとするなら、さいとう版(の想像力)がそれに先駆けていたっつー事なのです。
だからって、映画版がさいとう版を参考にした可能性はゼロだと思いますが(笑)。
俺ッチも『死ぬのは奴らだ』の原作は読んだものの、もう内容はうろ覚えですが、少なくともバハマでの案内役の子供とか日本人は出てきません(笑)。
巻末のインタビューを読むと、さいとうさん自身は原作を読んでおらず(笑)、他人からの口伝えで描き上げたとか。
ぶっちゃければ、美味しそうな所だけをかいつまんだ、ほぼオリジナル作品なので、「どこそこが原作と違う!」とか声高に喚き散らすのは無粋極まりない行為なのです。
劇画版OO7に興味を持った、そこのアナタ!
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