2019年版『チャーリーズ・エンジェル』を観ました。
ブロック社が開発した新しいエネルギーデバイス、カリスト。エンジニアのエレーナはカリストにある欠陥の矯正を具申するが、上司のフレミングに却下される。
エレーナはこの件を内部告発するためタウンゼント・エージェンシーのボスレーに相談を持ち掛けたところ、殺し屋に命を狙われる。ボスレーは殺されてしまうが、二人の女性がエレーナを救い出す。二人の名はサビーナとジェーン。そして彼女らの正体は、チャーリーズ・エンジェルとしてタウンゼント・エージェンシーに所属する凄腕のエージェントだった。
新たなボスレーの下、サビーナとジェーンはエレーナを連れて調査を続行。カリストを兵器に転用できる事を知るフレミングを追う3人は、事件を裏で操る意外な人物が黒幕である事に気付き始め……といったお話。
個人的に2000年版の『チャーリーズ・エンジェル』は、00年代アクション作品としては絶対に外せない作品です。もちろん続編たる『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』もね。
そこから16年のスパンを空け、スタッフ&キャストも一新された本作。確か劇場公開時はコロナ禍もたけなわだったせいで観に行かなかったんだよね。
予告編等を見る限り、少々の不安を抱いたものですが、観もせずにああだこうだ言うのはフェアじゃないと思うので、文句を言うためにもまずは一見しないとね(笑)。
前シリーズから主演、かつ製作総指揮を務めていたドリュー・バリモアさんの名もある事だし、そこまでヒドいものでもないだろうと願いつつ…。
で、今回の鑑賞で今さら知ったのは、お得意のリブート作品じゃないんだ?と。
つっても、強引に前作(映画版やテレビシリーズ)との繋がりを持たせている程度で、そんな嫌らしい真似をするくらいなら潔くリブートとしておけばいいんだよな。こちとら、あれっぱかしで懐かしさにウルッとするほどチョロかねぇんだぜ?
一例として挙げると、
・『ロボコップ』('87)と『ロボコップ』('14)
・『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』(’05)と『ファンタスティック・フォー』('15)
・ダニエル・クレイグさん主演のOO7シリーズ
そして本作。
総じてこれらのオリジナル版はユーモアに富んだ作品でありながら、リメイクやらリブートとして作り直すとなると、どうして真面目くさった作風にしちゃうんだろうと。
辻褄を合わせる事にばかり重きを置きすぎてるせいか痛快感に欠けるんだよね。
クールでスマートなのが今風のカッコ良さなのかもしれないけど、スカシてんじゃねぇと(笑)。
本作もそんな悪風の例に漏れずで、よく笑い、よくセクシーに(?)、よく戦うという前シリーズのノリが大好きだった俺ッチとしては、その辺の堅苦しさにフラストレーションを感じます。
赤の他人が主観たっぷりにオリジナル版の設定を改竄&後付けしちゃう昨今の悪癖は本作でも健在です。ガンダムとかマーベル、スター・ウォーズあたりが毒されてるヤツ(笑)。
タウンゼント探偵事務所が今や各地に存在するまでに大きくなっていたり、指示役であるボスレーの名がコードネームだったり、世界観を広げるためのアイデアとしては良いかもしれませんが、せいぜいその程度。
エンジェルの行動範囲はアメリカ国内だけで十分だと思うんですよ。
基本的にチャーリーズ・エンジェルは三人一組が(暗黙の)原則だと思っていましたが、そんな決まり事も取っ払ってます。本作の場合は2.5人組とでもいうか、サビーネとジェーンのコンビにヘルプとしてエレーナが参加するような形。
ただ、エレーナはエンジェルの見習いでもなく、あくまでクライアントにすぎないのに、タウンゼント・エージェンシーの内部事情を見せびらかしすぎでしょ。
その後、エレーナは正式にスカウトされエンジェルになったようですが……頭と体ばかりを鍛えるのはそこそこに、エンジェルの捜査テクニックの基本である色仕掛けの訓練も忘れずにな(笑)!
これはテレビ版=オリジナル版からあったのかな、エンジェルたちの変装、言い換えればセクシーなコスプレ七変化は『チャーリーズ・エンジェル』という作品の特徴であり見どころです。これは断言。
ちょっとばかりセクシーな恰好で相手を油断させる捜査テクニックでありつつ、男ってチョロいなという皮肉も含んでいるので(鼻の下を伸ばしているだけの男はこれに気付けない)、これをなくしてどうするのさ。
女性の権利だの性的云々とか言い出す連中に対する抑止策なんだろうけどね。今の時代に相応しくないとか言って、オリジナルの設定を改竄してまでリメイクをする事自体がナンセンスでもあるんだし、だったら最初から新しい企画でやればいいんです。
スタッフも女性が多く見受けられるだけでなく、お話的にも女性の悪人は皆無(そういえば!)ってんだから、女性が女性をヨイショするために作った感すらあります。
前作が男に媚びた作品だというのなら、本作は女性に媚びている作品であるように思えました。
仮に続編が決まったとして、こんなノリを続けるようならドリュー・バリモアさんは製作から降りて欲しい…。
チャーリーズ・エンジェルとは、平たく言えばスパイみたいなものなので、敵を欺くのが常套手段。
それは劇中だけの話ではなく、映画として観ている我々も誰が敵で誰が味方なのか?と惑わせるのもスパイ映画の王道です。
本作もその例に漏れませんが、こればっかなんだよね。伏線や説明も少なく、今までの行動は芝居でしたという展開は夢落ちに近い禁じ手だと思うんだよ。ひと言くらい言い残せる余裕もあったよね、そっちのボスレーさん?
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Blu-ray版は未公開やらNGシーンやら、映像特典が多め。
本作に対するドリューさんの見解を知りたかったんだけどなー…。
ところで……明確に似てるとは言わないけど、殺し屋のホダック(ジョナサン・タッカーさんという方が演じているそうな)を見てると岡田准一さんを思い出すんだよ……俺ッチだけ?