観た、『カクテル』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『カクテル』を観ました。

 

一獲千金を夢見てニューヨークにやってきたブライアン。しかし大企業への就職はことごとく失敗し、通りがかったダグラスの店でバーテンダーのバイトに就く。

天性の人好きな性格からブライアンは店の人気者になり、ダグラスと組んで二人の店を持つ事を夢見る。ダグラスはこの話に気乗りしないだけでなく、ブライアンの恋人に手を出した事で二人は喧嘩別れをしてしまう。

それから2年後、一人でジャマイカに渡ったブライアンはビーチでバーテンダーとして働いていた。ふとしたきっかけからブライアンはジョーダンと知り合い、親密な関係になってゆく。

そんな中、ブライアンは新婚旅行にやってきたダグラスと再会。軽口から始まった賭けとしてボニーを口説き落としたブライアン、そしてその姿を見たジョーダンは傷心のあまりニューヨークへ帰ってしまう。

ボニーとの心ここにあらずな関係が虚しくなったブライアンはジョーダンを探し求め……といったお話。

 

トム・クルーズさんの主演作です。『トップガン』や『ハスラー2』等々、人気が確固たるものになってきた頃ですね。この両作でも、実力はあるけど向こう見ずでヤンチャな若者を演じていて、本作においてもそんな感じです。

バーテンダーという事で、「ボトルやシェイカーをクルクル回したり女とイチャイチャするような、どうせチャラい役なんだろう?」とも思いますが、まぁ半分くらいは当たってますね(笑)。

やろうと思えば、曲芸のごときバーテンディングのシーンを多めにして見入らせる事もできたんでしょうが、観終えてみればそんなシーンは余興にすぎず、ブライアンの成長こそが真の見どころです。現にバーテンとして働いているシーンは3~4割くらいしかありませんしね。

 

序盤のブライアンはお金というより、ヤッピーな人種や生活スタイルに憧れていたようです。

特に女性関係に関しては基本的に行きずり、親密になったところでせいぜい恋人止まりで結婚なんか1ミリも前提とせず、自分を束縛するものなんか以ての外という感覚。中盤あたりまでのジョーダンとの関係を見ていれば一目瞭然ですね。

そんな行き当たりばったりでテキトーな生き方をしていた結果がボニーとの顛末で、ジゴロだのレディ・キラーだのと言われていても、日本語で端的に言い表せば要はヒモですが(笑)、ブライアンはその辺を割り切れなかっただけマシだったんでしょうね。この対極にあるのがダグラスなんですよ。

 

ブライアンの師匠でもあるダグラスもいい味を出しています。父親であり兄貴であり親友でもある、“信用”を通り越して“信頼”を寄せてもいい存在ですね。

その表れが二人の会話で、本音と冗談が入り混じった掛け合いは端から見れば挑発合戦にしか見えず、いつ喧嘩に発展するのかヒヤヒヤします。

でも、これは信頼で築かれている二人の関係が完成されているからこそ、ああいった軽口で済まされるんですよね。ブライアンの恋人を横取りしたのは、ダグラスの冗談もさすがに度が過ぎていますが(笑)。

自分の生き方の指針でもあったダグラスが落ちぶれた姿を見てしまったのも、ブライアンが目を覚ますきっかけでもあったんだろうなと。

 

で、端的にどんな話かと言えば、ブライアンが本当の愛を見つけ出すお話です。

テーマ的に古臭いし青臭くもあるけど、実際に古い作品(1988年)だし、トムさんだってまだまだ若い頃の作品。

世間的な評価のみならず、トムさんすら本作には渋い顔をするようですが、もう“昔の作品”と呼べるようになった今だからこそ、その辺を割り切って再見すれば、そこまでヒドいと感じる作品ではないと思います。

それどころか、こういう純粋さを冷笑する傾向が強まってしまった現代にこそ、見ておいてもいいんじゃないかな。

 

ブライアンとダグラスのバーテンディング=バーテン芸は目を引きますが、例えば予告編で使われるような掴み程度のものでしかなく、全編を通して見れば、これを主な見どころとした作品ではない事に気付きます。

そんな二人のバーテンディング、別に特別な芸ではないように見せるに留めていますが、かなりのスキルを要するものだと想像します。

これくらいトムクルならできて当たり前!みたいに思いがちですが(笑)、相当な練習を積んだであろうと想像します。もちろんダグラス役のブライアン・ブラウンさんも同様にね。

 

にしても、女性の髪形を見てるだけで80年臭がプンプンしますね。なんとチリチリパーマ率の高い事よ(笑)!

80'sハリウッド女優って、髪型のせいで見た目で損をしてる人が多いんだよね。目立つ作品に出ている割に、その後がパッとしなかったり、後世で話題になる女優って少ないじゃない?

 

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Blu-ray版は映像特典も吹替版もない、本編の収録のみというド最低限どころか、ドケチ仕様です。何かしらの素材でも見つけて来れないものかねぇ。

ロクに付加価値もないので、配信版でもいいと思います。

 

カンケーないけど、当時のナウい音楽を多用するミュージックビデオ風な作風も80年代ですよね。

個人的に、ボビー・マクファーリーさんの『Don't Worry Be Happy』に食い付きました。

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『土田晃之 日曜のへそ』のエンディング曲じゃん!と思う人、正解です(笑)。第2部は聞かないけど…。