『バイオハザードⅢ』を観ました。
ラクーンシティに留まらず、今や全世界に蔓延したT-ウイルスにより地上は荒廃した。果てしなく増え続ける感染者=アンデッドに覆い尽くされた世界でアリスは一人で旅を続けていた。
そんな中、非感染者が集まるクレアの旅団に遭遇したアリスは、そこにいたかつての仲間たちとの再会を喜ぶ。
アリスが旅の途中で拾った手帳によれば、アラスカには感染者がいない土地があるという。一行はこれを信じ、安住の地を目指す。
一方、世界規模のバイオハザードにより、規模が縮小されながらもアンブレラ社は地下に潜み活動を続けていた。アイザックス博士はアンデッドの調教、そしてT-ウイルスの抗体に必要なアリスの血液を求め……といったお話。
シリーズ第3作。
『バイオハザード』シリーズは全6作あるので今作で折り返し地点……でありながら、ラクーンシティがあったアメリカのみならず全世界にT-ウイルスが蔓延し、世界どころか地球の滅亡にすら繋がりそうな世界観には絶望しか感じません。
シリーズ後半戦がどうなるのか、否応なしにも気になります。
感染者=アンデッドたちとの戦闘はさておき、それに決着をつけようとするアリスに隠された謎を追うのも本作の見どころです。
T-ウイルスの影響を受けないアリスは、これまで超人的な力を以てアンデッドたちと戦い抜いてきましたが、その理由は未だに語られません。
…ただね~、超人的な身体能力を秘めているのはいいんだけど、超常的な力まで使えるのは反則じゃない? それ理力でしょ!みたいな(笑)。
のみならず、ロボットだかクローンである可能性を示唆する描写もあり、回を重ねるごとにアリスの正体に関する謎が深まります。こんなにドデカく風呂敷を広げちゃって……あと大丈夫?
1作目から登場しているアリスに関しては微妙なところですが、アリスのクローンはほぼ完成というか実験中のようです。
超人的な力を持った女主人公のクローンという事で、『エイリアン4』の連想は免れませんね。
この他にも、人類の文明が終わりを遂げ世界が荒廃した上で砂漠化した光景は『マッドマックス2』を(これは明確に意図している)、アンデッド化したカラスの大群が旅団を狙う画は『鳥』を思い出します。
どちらにせよ、ちょっとやそっとじゃどうにも復興できなさそうな未来観が本作の雰囲気を盛り上げています。
にしても、『バイオ~』シリーズは、あくまで娯楽に徹している点に好感が持てます。
回を重ねればお話が大層なものになり、帳尻合わせのために理屈っぽくなるせいで最終作あたりでは尺も2時間半くらいになりそうなものですが、全作の尺はおおよそ90~100数分というスリムさ。
主人公の苦悩や葛藤だの、複雑な人間関係だのといった時間を食いがちな描写は最低限で済ませ、ストーリーの進行を妨げる要素がほぼないのが潔いんですよ。
シリーズとして前作の知識はある程度は必要ながら、1本の映画としては何も考えずに楽しめるのがいいんです。シリーズを途中から見る一見さんでも、それなりについて行けるのは大事ですよね。
って事で、今作での問題を解決し、シリーズの黒幕らしきアンブレラ社のウェスカーに宣戦布告するアリスよ、次は日本の夜空雪風駅で会おう!
そんな駅ねーよ!という初心者ツッコミも聞こえそうですが、あれはヘンテコな駅名が増えている近年の日本を茶化しているんですよ。たぶん。
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Blu-ray版の映像特典はメイキングや未公開シーンを収録。メイキング以上に面白い話が聞ける音声解説があるのもいいですね。