『ニュージーランドの若大将』を観ました。
オーストラリアで2年に渡る駐在生活を送る雄一は、日東自動車本社より帰国の命令を受ける。セールス部門でトップの成績を誇るエリザベスとの再会を約束しつつ、雄一はオーストラリアを後にする。
帰国早々、ライバル会社である中央自動車の幹部が接触した外国人の素性を調べようとする雄一は、ニュージーランド産業振興会に勤めているという節子と出会う。節子は先の外国人と顔見知りであり、ニュージーランドの大富豪ジョン・オハラであるという情報を入手する。
社に戻り、中央自動車とオハラの件を報告する雄一。中央自動車に負けじと日東自動車でも海外に向けた戦略を展開するため、手始めにニュージーランドで行う新車発表会に雄一を派遣する事に。
再会を果たし、会うごとに距離を縮める雄一と節子。近々、雄一がニュージーランドへ発つと知った節子は雄一を追い、雄一の親友であり節子に入れ込む石山もまたニュージーランドに向かい……といったお話。
若大将シリーズ第14作、かつ社会人編の2作目。
前作では社会人1年生という事で仕事と恋愛の要素が多めに描かれ、歌やスポーツの見せ場に関しては最低限に等しいものでした。
が、今作ではそれらも幾分か復活し、若大将シリーズ感を取り戻したような感じ。
オーストラリア支社で2年も駐在しながらも新曲が作れるあたり、多少は雄一にも余裕が生まれたんでしょうね。何としても誰かに聞かせたいのか、まぁまぁ往来のある通りで、ギターの弾き語りをしながらエリザベスと歩く姿はなかなか浮いています(笑)。
スポーツに関しても、大学生編の後半では加山雄三さんがあまり得意でなさそうなスポーツが多かったように見えますが(吹き替えと思わせる画が多かったし)、ここにきて得意のスキーを披露。相変わらずの腕前!
たとえ会社員になっても、”歌って恋して(スポーツで)汗をかく”という3ヵ条は若大将シリーズには欠かせないんです!
シリーズ新章の開幕に伴い、大学生編でのマドンナだった澄子に代わり、前作から登場した節子は今後も社会人編のレギュラーとして登場するんでしょう。
ただ、やってる事は澄子と何ら変わるところはなく、やっぱり独占欲が強い女です。女性にモテるのは仕方ないにしても、そんな光景を容易く節子に見られちゃうんだから脇が甘いというか運が悪いというか…。
節子はやきもちを焼くだけでなく、どれだけ嫌いな素振りを見せても雄一が自分を嫌いになる事はないという確信を持っているんですよね。公園での、喧嘩別れをしそうになってもそうはならないシーンを見る限り、かなりのあざとさを持ち合わせている小悪魔的なキャラなのです。
どうしてそんな女にばかり惚れちゃうんだ、雄一よ(笑)!
レギュラーと言えば、雄一の実家=田沼家をおざなりにしないのもシリーズの良いところ。
雄一は寮で暮らしているけど、しょっちゅう実家に顔を出すのがほっこりします。帰れば帰ったで、何かしら厄介事があるし(笑)。
その厄介事の定番になりそうなのが父である久太郎の女遊び。
有島一郎さんのコミカルな芝居でそうは思えなくなるんですが、実は久太郎は真面目で厳しい人なんですよね。前作、そして今作でもああまで鼻の下を伸ばしてしまうのは、その反動なんです(笑)。
ところで、雄一の妹である照子と結婚し田沼家に婿養子入りした江口は”ダーリン”と呼ばれますが、照子だけでなく田沼家全員に呼ばれているのが面白いですね。そもそも、江口が下の名前で呼ばれた事ってないような…。
タイトルに冠しているものの、実際にニュージーランドに向かうのは残り20分くらいになった頃ってんだから、少々タイトル詐欺っぽさがありますね。86分の尺なら30分を過ぎた頃にでも日本を出なきゃでしょ。
シリーズ中、海外ロケを敢行した作品はこれまでに多々ありますが、1作のうちに2ヶ所も回るのは本作が初という事で、地味に豪華な作品なのです。滞在時間は短そうだけど(笑)。
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