『ハワイの若大将』を観ました。
若大将こと雄一がキャプテンを務める京南大学のヨット部は大会に向けて練習中。そのさ中、雄一が操船するヨットにモーターボートが衝突。大破したヨットを修理するため、雄一はダンスパーティーを開催して資金を稼ぐ事を思い付く。
雄一は先のモーターボートに乗っていた澄子と再会、澄子を初めとする多くの人々の協力でパーティーは大成功を収める。
後日、大学の試験で石山=青大将に頼まれ答案を見せたのがバレた雄一。同罪と見なされた二人は2か月の謹慎処分を受ける。学校の対応に腹を立てた父の勧めで、石山はハワイの大学に進む事になる。
しかし石山は入学試験でもカンニングがバレてしまい、そのままハワイで遊び呆けているという。息子を連れ帰って欲しいという石山の父の頼みを聞き、雄一はハワイに向かう。
ハワイに着いて早々、雄一は出張でやって来た澄子と再会。石山捜しを手伝ううちに、澄子は雄一に惹かれて行き……といったお話。
若大将シリーズ第4作。
大学→銀座→日本一と徐々にスケールがデカくなり、今作では『ハワイの若大将』と、ついに海外進出。贅沢にもハワイでのロケが実現できたのは、やはり人気があった証なんでしょうね。
ハワイと言えば海、そして今も昔も加山雄三さんと言えば海ですからね、もうどんだけヨイショ映画なんだよ(笑)。もはや呆れたり妬んだりするのは無粋の極み、何も考えずに楽しもうよ!
って事で、海のシーンはもちろん多め。
しょっちゅう加山さんがやってる事なので何も感じなくなってしまいますが、当たり前に海で泳ぐシーンが多い事多い事。公開当時はまだ歴史が浅かったであろうサーフィンに挑戦したり、ヨットを操船するシーンもあります(クライマックスでのそれは合成が多いのが残念)。
そして加山さんだけでなく、雄一の後輩の江口を演じる二瓶正也さん(今作では江原達怡[エハラ・タツヨシ]さんではない)どころか、澄ちゃんを演じる星由里子さんまでが海にドボンした上で演技をしているのは驚きです。
吹き替えという映像のトリックが未熟だった故か、常に本人が演じざるを得なかった時代だったんでしょうが、だからこそ俳優の熱意や根性が伝わるよね。ファンサービスとはこういう事なのだよ!
お話としては、恋愛ネタで僅かな障害が立ち塞がる程度で、あとはいつもながらのサクセスストーリーです。
どんな事態に陥っても常に&必ず良い方向に流れるし、あくどい真似をしても因果応報の対象にはならない。
我が子を寵愛する青大将のパパと雄一が対立し、この後はバチバチな展開になるのかと思いきや、真実を知った上であっさり雄一に謝罪するんだから、チトあっけないと思いながらも青大将パパは潔い人物である事が分かり、また好きになれるキャラが増えるんですよね。
陰鬱な気持ちになるキャラが皆無の、本当に平和な世界。俺ッチも若大将シリーズの世界に転生したい…。
しかしまぁ、若大将シリーズには生粋の悪がいないのが健全です。
あまり聞こえない気がするんですが、若大将シリーズって親子でも楽しめる作品だと思うんですよ。気まずい空気になりがちなセクシー&バイオレンス要素なんか皆無に等しいし。
あってもせいぜい赤塚=赤マムシ(これは大人が半笑いするネーミング)が澄ちゃんを手籠めにしようとするシーンくらいですが、未遂にもならない時点でヒーローが到着するのが分かり切っていますからね。これを遅らせる事で、澄ちゃんがあられもない姿にされてしまう……なんて発想は1ミリも感じさせないのがいいんですよ。
澄ちゃんにこだわってばかりで周りが見えてないようだけど、青大将には友達程度に付き合ってくれる女性が多いんですよね。
今作では青大将に友達以上の感情を寄せる夏子が登場しますが、そこまで克明に描かれる事もないし、所詮はゲスト。青大将にちょっとした春が訪れるのは今作限りの話です(笑)。
ところで、英語にかぶれた雄一のおばあちゃんに“ブルー・ゼネラル”(笑)と呼ばれて顔をしかめるのを見るあたり、石山は“青大将”と呼ばれるのが不満なのかな?
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