観てきた、『ボルテスVレガシー』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

天気が悪くなると言われたところで、たとえ嵐が吹こうとも『ボルテスVレガシー』を観に行ってきました。

 

プリンス・ザルドス率いるボアザン帝国による、地球への侵攻が始まった。

世界の主要都市はボアザン軍に攻撃され、さらに現れた巨大ロボット”ビースト・ファイター”には地球防衛軍は手も足も出ない。

そんな中、要塞基地ビッグ・ファルコンに集った5人の若者はパイロットに任命される。ビッグ・ファルコンの主導者であるスミスとマリアンヌ両博士はボアザン帝国の来襲を予測し、これに対抗するための戦闘機を開発していたのだ。

5人が乗る5機の戦闘機が合体した巨大ロボット=ボルテスⅤ[ファイブ]はビースト・ファイターを撃破。今ここに、地球とボアザン帝国との終わりなき戦いが始まる……といったお話。

 

大昔に放送されていた『超電磁マシーン ボルテスⅤ』という作品はフィリピンでは日本以上に大人気だったようで、本作はフィリピンの人たちが、好きが高じて自分たちで作っちゃったという経緯を持つ作品です。

ぶっちゃけ二次創作ではあるんですが、どうせやるならとことんやってやるという意気込みが伝わります。安っちぃ言い方をすれば“ボルテス愛”ってやつね(笑)。

日本で作られた作品が別国で感動され、彼らの手でそれを基にした作品が日本にやって来るのは実に感慨深く、劇場プログラムに掲載されている諏訪部順一さんのインタビューから言葉を借りれば文化の循環と呼べるものですよね(文化の“交流”ではなく”循環”という言葉選びが絶妙!)。

このノリで、個人的にはこっちの方が好きな『超電磁ロボ コンバトラーV』も作って欲しいなぁ。ここで関係者の方々に通知しておきますが、南原ちずる役のオーディションの際には俺ッチを審査員に迎えるように!

 

まず先に知っておくべきなのは、本作はフィリピンでのテレビシリーズに先駆けて公開された劇場版に手直しを加えた再編集版だそうです。お話的にもオリジナル版の1話と2話を合わせた、まさしくパイロット版と言ってもいいんでしょう。

つまり、本作はテレビシリーズのお試し版みたいなものなのです。本作を面白いと感じてくれたならテレビ版も見てね、という。

なので、一本の映画として見てしまうとガッカリするのは確実です。何の先入観もない人はラストカットの一文に何を思う…。

日本でもフィリピン版テレビシリーズが放送されるようですが、ここまで盛り上げておいて放送するのは全90話中、たった20話ってんだからテンサゲな話です。

 

ちなみに俺ッチが観たのは字幕版。

原作は日本製だったにしても、映画として海外作品であるなら洋画として楽しみたいのでね。

いったん原作を切り離して考えられる人、かつ海外=異文化ではどう解釈されているのか興味のある人は字幕版がオススメです。特に、初の合体シーンは吹替版では得られないカタルシスっ…!

原作へのリスペクトが~とか言ってる連中は間違い探し(or粗探し)にしか興味がないだろうから、そんな人たちは吹替版でいいんじゃないかな。

ちなみに、吹替版ではVの字切りの呼称(正確には入力音声)はあったの?

 

敬意を表してか、なるべくオリジナルに忠実になるよう心掛けて作られているのは伝わってきます(こういうのがリスペクトっていうの?)。

樹木の幹がパカッと開いた中からマシンガンが出てくるとか(笑)、こういうバカっぽさが昨今の作品には足りないんだよ。

ただ……ビジュアルの迫力に圧倒されるものの、忠実すぎるせいか、お話としてもやってる事は昭和です(笑)。

先日、原作の1&2話を観たところ、今の目で見るとじれったい&もどかしいシーンが多々あったんですが、本作ではその辺のテイストもしっかり再現しているというね。ビースト・ファイターとの2回戦目、手足をチェーンに絡め取られて動けないシーンとか、そりゃ前に行こうとするから動けないんだよ?みたいな(笑)。似たようなやり取りばかりで話が進まないような感じとかもね。

逆を言えば、昭和の作風はクサいというかベタというか、ストレートに感情表現をするので直感的に心に伝わるのが良いんですよね。昭和作品の妙は“情”にあるのです。

それ故、他愛もないシーンで、ま~泣けた泣けた(笑)。アームストロング兄弟が、ヘルメットのシールド(風防?)が曇るほどボロ泣きするシーンにはもらい泣きしちゃったよ。

 

温もりを信じ合う5人の仲間であるボルテスチームの、5人のうち3人が兄弟であるという設定は絶妙ですね。普通、5人全員を兄弟にしがちじゃない?

親子関係を描いているのも本作の特色ですが、それとは無縁な者もいる。ボルテスチームとしての初陣からの帰還を喜ぶシーンは、哀しい気持ちの方が強かったです。

そして、これが後の伏線に繋がる事がないのも昭和な作風です(笑)。テレビ版ではどうなのかな?

 

観終えてつくづく思うのは、こりゃ日本じゃ作れないよなと。

昭和の作品を現代変換するには、時代性も鑑みた上で様々な取捨選択を迫られますが、問題なのは”取”の要素。あまりにも作家性=主観が強い解釈を取り入れたり、この手の作品であればオモチャ屋の介入も免れませんからね。クーデターが始まったりボルテスが光ったりするんだろうな(笑)。

キャラの行動原理なんかいちいち&わざわざ説明しなくても見てりゃ分かるだろ!と言わんばかりの、クドい説明や帳尻合わせが少ない点が好きです。

 

そして当ブログお馴染み、劇場プログラムについて。

本作のプログラムは1500円と、かなりお高め(鑑賞料金より高かった…)。

この手のマニアの金払いの良さを知った東映の強気価格です。

 

スリーブなんか要らないんだよと思うんですが、ちょっと面白い趣向が凝らしてありまして。

スリーブの角がこんな感じですが、ちゃんと新品で状態も良好です。

売店で買った際、商品を渡すのと同時に店員さんが「これはデザインですので…」と断りを入れてくれました(笑)。

プログラム自体にもこだわりに溢れ、まるで昭和のムック本のような装丁は必見です。家に帰ってページを開いた瞬間に爆笑しちゃったよ。

 

 

ところで、今回はいわゆる映画テロに遭いました。

隣の隣に座ってた人がリュックの中に持ち込んだお菓子を食べてて、映画が始まって80%くらいの間、ず~っと包装袋をカサカサさせやがるので、映画に集中するのに必死でした。

デブって常に何か食ってないと死んじゃうんだろうなと、デブに対する偏見が一層強まったとさ♪

あー、思い出しただけでもチェーンナックル食らわせたくなる…。