『キングコング対ゴジラ』を観ました。
パシフィック製薬がスポンサーを務めるテレビ番組『世界驚異シリーズ』は聴取率の低迷が続いていた。この状況を打破するため、宣伝部長の多胡[タコ]は、ソロモン諸島のファロ島に言い伝わる巨大な魔神をスクープするため、テレビ局員の桜井と古江を派遣する。
ファロ島に着いた桜井と古江は巨大タコに遭遇、そこに現れたキングコングこそ魔神の正体だったのだ。村に貯蔵してある赤い汁を飲み干し眠りについたコングを見た二人は日本に連れ帰る事を思い付く。
一方、北極海の氷山の中から目覚めたゴジラが復活、日本に向かい始める。
日本に着いた両怪獣は動物的な本能のままお互いを目指し、ついに対決の時を迎える……といったお話。
巨大ヒーローが怪獣と闘うのは好きですが、ヒーローがいない怪獣映画には食指が伸びない俺ッチ。『ウルトラQ』は不朽の傑作とすら感じるのに、我ながら何なんでしょうね、この矛盾は。
そんな食わず嫌いを治そうと(?)テレビで放映するゴジラシリーズをちょいちょい見ていますが、未だに苦手なままです。
『ゴジラ』という作品は、巨大な怪獣が街を破壊したり怪獣と闘ったりするだけの痛快な印象は薄く、風刺や皮肉を含んだ作風のイメージが強いです。
本作ではテレビの視聴率合戦が描かれますが、ハッキリ言わずとも視聴率を取り合うとは切磋琢磨する上でも必要な競争とも呼べるから、むしろやるべき事なんです。
が、それが過剰になり、手段を問わなくなれば無法地帯も同然です。ネットなんか特にね。
コメディ役者として知られた有島一郎さんが首謀者の役を演じているおかげでマイルドになっていますが、本来なら日本の一部に大被害を及ぼした原因を作ったパシフィック製薬は戦犯として弾劾されてもおかしくないんですよ(笑)。
その辺を始め、令和になって初めて観る作品ゆえ、古い作品とは分かっていても色々とツッコまざるを得ない描写が多々あります。
たかが一製薬会社がコングという巨大生物を連れてこようとするだけでも無茶苦茶なのに、その道中で無許可での持ち込みは禁止と言われて落胆する前にやるべき事があったでしょと(笑)。
自分が北海道あたりで遭難したと思い込んだふみ子が現地に向かったと知り、車で追いかける一雄の発想や行動力も昭和ですよね(笑)。電話や電報も使わず、あくまで自分の足で愛する人を追う姿は令和の女性でもキュンとする……かな?
迫り来る両怪獣に太刀打ちできず、となれば対抗し得る兵器として水爆がチラつきますが、落とし穴とか電流といったTHE昭和な作戦(笑)が通じなかったとして、おそらく最後の最後になっても使わないのが日本人だよね。
ゴジラという存在がアンチ水爆の極みである証左であり、ゴジラが登場する作品を作るための不文律なんでしょうね。
出演者に関しては見どころが多すぎて、本作はこのおかげで最後まで観終えられました(笑)。
桜井を演じる高島忠夫さんは『ゴールデン洋画劇場』と“イェ~イのオジサン”くらいの認識しかなく(笑)、俳優だった頃の仕事ぶりを見るのが初めてだったんですが、まさに60年代イケメンでカッコ良いですね。威勢のいい江戸っ子風なキャラで、有島一郎さんに負けじ劣らじと(?)コメディ芝居も達者で面白い。
60年代イケメンと言えば、サブ主役でもある佐原健二さんはこの手のジャンル作品ではお馴染みです。この手の作品だからこそ、田島義文さんとの共演も淳ちゃんとデスクを思い出しちゃいますね。
そして個人的な最大のトピックは、若林映子さんと浜美枝さんの共演! まさか『OO7は二度死ぬ』より前に、このお二方の組み合わせの作品があったとは知らなかったので、これは大収穫。日本が誇るクラシックビューティーなんだぜ!
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