観た、『病院坂の首縊りの家』 | Joon's blog

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『病院坂の首縊りの家』を観ました。

 

本條写真館に、出張で婚礼写真を撮って欲しいという依頼が入る。本條の息子である直吉が向かった場所、そこは目の前の坂道が病院坂と呼ばれる由来ともなった法眼[ホウゲン]家が経営する病院で、ここで女性が首を吊って死んだ曰くもあり、現在では空き家と化していた。

夫婦の写真を撮った翌日、再び同じ場所に来るよう連絡を受けた直吉は、パスポートの写真撮影のためにやって来た金田一を伴い病院跡に向かう。そこには夫の生首が吊るされていた…。

これを発端に、次々と犠牲者を出しながら金田一は法眼家の過去に起因する謎多き事件に挑むが……といったお話。

 

お馴染み、金田一耕助が登場する横溝正史さん原作の映画化作品です。

“病院坂の首縊[クク]りの家”、もうタイトルからインパクト大だよね(笑)。ぜってーこえーヤツじゃん?

タイトルだけでなく内容ももちろん怖いんですが、監督の市川崑さんワールド全開の、いかにも映画と言わんばかりのビジュアルがいっそう不気味な雰囲気を与えています。

電気が通っていない時代の話でもないんだし、相変わらず部屋の照明が暗すぎるとかね(笑)。

唯一、ペンキ感丸出しな血の表現だけが興醒めですが、あれで血の色がリアルだったら、ショック度が跳ね上がるだろうなぁ。

 

どうも金田一が関わる事件には家族や親族が多めの名家が絡む事が多いですが、このキャラの多さが作品の複雑度を上げる要因になっているんだよね。

本作はその極みと言っていいほどで、相関図というか家系図を頭の中で描かなきゃならないどころか、その家系図も新キャラが増えたり関係が更新されたりで、ややこしい事この上ない。

こういうのを、たった1回の鑑賞で咀嚼した上で理解できる人とは、よっぽどの集中力があるというか映画力に長けた人なんだらうなぁ、羨ましい。

 

古谷一行さんが金田一を演じるテレビ版も存在しますが、あちらはもう少し分かりやすく描かれていた記憶。あんま覚えてないんだけど。

話によれば、映画版もテレビ版も原作をアレンジしてあるそうなので、映画版が分からなかったからってテレビ版を見て補完するという復習はできなさそうです。

 

しかしまぁ、金田一シリーズで起きる事件の、諸悪の根源たるキャラは若い女性を食い物にして脅迫じみた真似をする色情ジジイが多いですね。金田一あるあるですよ(笑)。

本作もそんな例に漏れず、本作では五十嵐という男がヒロインである弥生を嫌らしい手段で追い込みます。

弥生と五十嵐、そして冬子との胸クソ悪い関係は『チャイナタウン』を思い出します。

 

本作のキーとなる由香利と小雪を演じる桜田淳子さんの力演には唸らされますね。

桜田さんと言えば歌手としての活躍しか知らず、少なからず演技の仕事もやってはいたんでしょうけど、ここまでガッツリ女優業をやってる姿を見るのは初めて見るので新鮮です。パッツン前髪も可愛い!

そんな桜田さん演じる小雪の兄、敏男を演じるあおい輝彦さんは相変わらずの超イケボです。あのボクサーの役は作った声ではなく地声だったんだなと実感します。ああまでヒゲ面にしちゃイケメンが台無しとも思いますが、五十嵐とダブらせる演出でもあるんですよね。

 

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