読んだ、『トラペジウム』 | Joon's blog

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結局、映画版を先に観てしまったとは言え、遅ればせながら原作版『トラペジウム』も読みました。

映画公開のタイミングに合わせて色んな種類のカバーがあるようですが、俺ッチが買ったのは本来のものと映画の宣伝も兼ねたカバー2種類が付いたものです。

 

粗筋は映画版とほぼほぼ同じなので割愛ね。

だいぶ原作と違うなんて話を見知りしましたが、実際に読み終えてみれば、作品のテーマがズレるような変更は見受けられませんでした。

 

本作のお話をざっくり分けると、ゆうを始めとする“東西南北”メンバーやサブキャラの紹介→アイドル活動といった大まかな展開は同じながら、この比率がずいぶん変わるんですね。

原作はメンバーや登場キャラ紹介パートが長く、アイドル活動パートが短い。ようやくアイドル活動を始めたと思ったら、残りはあと2割くらいしかないという(笑)。

映画版はこの比率が5:5~6:4くらいだったように思えましたが、この変更は正解だと思います。ドラマとして盛り上がるのは後半=アイドルになってからですからね。

逆に、それぞれのキャラを深掘りして理解したいのであれば原作版がオススメです。

 

「初めてアイドルを見た時思ったの。人間って光るんだって。」

ゆうがアイドルを目指す行動原理であり、本作の随所にあるパワーワードの一つです。

光るというか輝きを放つ人間の力に魅力を感じ、ならば自分もとアイドルを目指すゆうですが、これがなかなかの野心家の上に打算家。

原作はゆうの一人称で進むので、小説の一人称システムとしてもゆうの内心=本音が多く綴られていますが、根性が腐っているとまでは言わないにしても、あんま可愛げはない子だよね(笑)。ちょっとドライで現実的な感じとか。

映画版の前半では、普段はそうでもないのに時々裏の顔の片鱗を見せる事がありますが、原作を読んでいればそれも腑に落ちます。やっぱり、こういう子なんだよねと。

黒ずんだ人が光ろうとする、おこがましい努力が歯痒いんです。

 

基本的に一人称システムで綴られていますが、ゆうがいない場所=ゆうが知り得ないエピソードがあるのはチト反則だったかな?

アイドルになってからの華鳥とくるみの会話とか、思い切ってカットしても良かったかもしれません。後のシーンで誰かに喋らせたりとかね。

 

大勢を護ったり救ったりしているのに自分の傍のたった一人にそれができず、悔悟の念に駆られると言った“森を見て木を見ていなかった”ヒーローを描いた作品は今やありふれています。戦士とか医者とかね。

これをアイドルに当てはめるアイデアが新鮮です。

 

芸能界において、特にアイドルって本音を隠さねばならない事が多い職種だと思うんですよ。

これに気付けないor受け入れられないドルオタはなかなか減りませんが、ゆうもその中の一人で、ステージ上でキラキラしている、仕事の真っ最中のアイドル(をやっている人間)しか見ていないんですよね。

アイドルに対する幻想が強すぎるというか、アイドルを演じている人のカメラやステージの外での姿を想像できなかったのが、ゆうの失敗です。

 

「『トラペジウム』の主人公がヤバい!www」「もしかしてホラー?www」とかみたいな冷やかしや揚げ足取りをよく見ますが(こういう風習に気持ち悪さも感じる)、確かに上澄みだけ見ればゆうは自分勝手な奴でしょうが、それだけアイドルに執着しているというか、そうまでして叶えたい夢なんですよ。

ただ、ゆうの場合は夢に一途になるあまり、脇目を振らなさすぎた。

夢に取り憑かれて、周りが見えなくなった子のお話でもあるんですよね。

 

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↑の文庫版は初めにカラーイラストが掲載されていて、そこから先の本編には挿絵が一切ないのが好印象です。

若い頃は挿絵がないのは不満でしたが、いい歳になってくると、読んでいるさ中に自分が思い描くイメージに水を差されるのが嫌だと感じるようになったのでね。

 

不満とまでは言わないけど、読んでいて違和感があるのが台詞の表現。

”「じゃあミルクティー一つ。」”

“「私も。」”

といったように、セリフの言い終わりに”。”=句点があるのがチト読みづらかったかな? この辺は出版社のルールに則っているんだろうけど、小説をよく読む人には慣れるまで時間が掛かりそうです。

 

ところで、プラモデルを少々嗜んでいる身として指摘というか、補足しておきたい点が一つ。

本作は架空の土地のお話で、ここでは現実世界で言うところのタミヤプラモデルファクトリーのようなお店が存在している……と思い込みましょう。

編集の人って、言葉遣いや文字の間違いを正すだけが仕事じゃないと思うんだよ…。

 

 

ところで、たまたま目に入ったんですが、

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ふざけすぎでしょ、コレ(笑)。高山一実さんと湊かなえさんに対して失礼という気持なんか1ミリもないよね。

道徳心を残したままできない商売なんだろうな、転売屋って。

もちろん買うなよ、☆1でもくれてやれ!