観た、『サイドウェイ』 | Joon's blog

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『サイドウェイ』を観ました。

 

マイルスは1週間後に結婚式を控える親友ジャックと共に、カリフォルニアを回る男二人旅に出る。

ワイナリー巡りやゴルフ三昧の毎日を楽しむのが目的だったが、ジャックは独身最後の女狩りをしたいのが本音だ。

旅先で、マイルスとは既に顔馴染みの仲になっているマヤ、ジャックはワイナリーで働くシングルマザーのステファニーと仲を深める。ただ、未だ離婚のショックから立ち直れていないマイルスは、マヤに対してなかなか気持ちを打ち明けられない。

期限の1週間も終わりに近付く頃、二組のカップルは……といったお話。

 

男二人旅というワードがカッコ良く聞こえますが、フタを開けてみれば、ダメ中年の珍道中です。

ズバ抜けたワインの知識を持ちながら、小説がボツになりそうだったり離婚のショックが後を引いたりで、塞ぎ込んでばかりのマイルス。

俳優として人気ドラマに出演していながら今は仕事も激減、結婚式を間近に控えながらナンパの事しか頭にないジャック。

これだけの紹介だと目も当てられないオジサンたちですが、どうせ終盤では格好いい見せ場があるんだろう?と思いきや、最後までそんなシーンはありません(笑)。

どんな男もカッコ良いと思わせるものを何かしら持っているはずですが、それがない者も世の中にはいます。そんなカッコ悪さが愛おしく感じると同時に、無理してカッコ付けない生き方もそれなりに楽しいものだと感じさせる作品です。

 

そんなマイルスとジャックの関係性もいいんです。

お互いに対して文句を言ったりキレたりする事も多々あるけど、そこで終わり。後の関係性に変化を生じさせるような喧嘩もなければ、媚びるように許しを請う事もない、とっくにお互いを知り尽くした信頼関係が根っこにある証左です。この逆として、助言や激励するシーンとかでもね。

そういう関係にある者同士による男二人旅、ロマンがあるよね。

 

優しさからくるものでありながら繊細すぎて一歩を踏み出す勇気を出せないマイルスはさておいても、いい歳になって女性にガツガツしているジャックのカッコ悪さは擁護しにくいですね。実際にもいる(らしい)、30歳も過ぎてナンパ師とか気取ってるみっともない奴みたいで(笑)。

言葉巧みに近付いたんでしょうが、実はジャックは結婚を間近に控えている事を知ったステファニーの、情け容赦のない大逆襲が強烈です。あまりにも過激すぎて映しもしないくらい(笑)。

そんな仕打ちを受けながらも(自業自得ではあるんだけど)、病院で応急処置を受けた日の夜には別の女性をクドくジャックさん、前向きすぎるにもホドがあるというか、もはや尊敬できるくらいだよ…。

 

そんなステファニーを演じるサンドラ・オーさんについて。

「なぁ、サンドラ・オーってどんな人?」

「そうだなぁ、ガンダムSEEDのモブキャラを実写化したような顔立ちの人だよ」

あくまで俺ッチの第一印象ですが…。

 

ロードムービーってほどではないにしろ、ドライブシーンが多めとなれば車も陰の主役と言ってもいいでしょう。

そんな車とは、マイルスが所有&運転するサーブのC900です。

正直、あんまカッコ良くないです(笑)。

2004年の作品に対し、年式は1987年というんだから、けっこうな年季モノ。アメリカ映画の庶民が乗る車って年式が古いものが多いんだよね(10年未満でコロコロ車を替えられる日本がおかしいのかな)。

ジャックだけでなく、マヤやステファニーと4人でドライブするシーンもあるんですが、車にケチを付けたり笑ったりする人は誰もいないんですよね。自分が運転する車なんて80~100キロも出れば十分と考える俺ッチにとっては素敵な世界(笑)。

このサーブ900君、終盤では気の毒な姿になり果てるんですが、それでも元気に走ってくれる(動作に支障が出るシーンがない)んだから、かなりのタフネス車。マイルスの人とナリを表しているようで、良い演出にもなっています。

ラストの結婚式、駐車場でベンツやらBMWやらアウディといった高級車に囲まれても、堂々とこの車で出席するマイルスの胆力もなかなか(笑)。

余談ながら、近年『ドライブ・マイ・カー』に登場するのもサーブ900(こちらは屋根アリのクローズドタイプ)でしたが、少なからず本作の影響があるんでしょうか?

 

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Blu-ray版の映像特典はメイキングや未公開シーン集。

隠しコマンドで見れる、撮影資金の使い方を怪しんだ映画会社の人が現場を訪れるドキュメントが面白いです。