観た、『ヤマトよ永遠に』 | Joon's blog

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『ヤマトよ永遠に』を観ました。

 

西暦2202年。

太陽系の星々を滅ぼしながら通過する謎の飛行物体が地球に降り立つ。その後、降下してきた兵士たちは地球防衛軍周辺を占拠、ヤマトの在り処を問う。

古代を初めとする元ヤマトの乗組員たちは、火星近くにあるイカルス天文台にいる真田に連絡。ヤマトが匿ってあると聞いた古代らは連絡船でイカルスに向かう。連絡船に乗り込む際に敵弾を受けた雪を残して…。

先の地球に降りた飛行物体の正体は重核子爆弾であり、暗黒星団本星にある作動スイッチを止めるためヤマトは飛び立つ。

その頃、雪は暗黒星団の情報部将校であるアルフォン少尉に救出されていた。爆弾の秘密を知りたがる雪に対し、アルフォンは自分の愛を受け入れる事を条件に出すが……といったお話。

 

本作を駄作とする人はずいぶん多いし、若い頃の俺ッチもその中の一派でした。

そう感じてしまうのは、観客が求める『宇宙戦艦ヤマト』というシリーズの方向性を決定付けてしまった『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』からの呪縛から逃れられないのが原因だと思います。『さらば~』の印象が強すぎて、泣こう泣こうと身構えているんじゃないかなと。

まぁ、思い入れが強いほど、時系列がどうとかとか細かい事が気になってしまうのも分かるんですがね。

俺ッチの場合は、歳と共に距離を置いて客観的に観れるようになった今に再見してみたら、けっこう面白いと感じるようになりました。

一本の映画として見ると、やりたいであろう事がゴチャ混ぜになって、その上澄みしか描かれていないように見える感もありますが、決してつまらない作品ではないと思います。

 

恒例行事である古代と雪のイチャイチャが少ないどころか、離れ離れになる展開に意外性があります。殊に雪に関しては、見た目の線の細さに比例して華奢で頼りない→総じて弱い(というか儚い)イメージがありましたが、敵の下で秘密を探ろうとしたり、率先して銃を持って戦う姿を見せるのが新鮮です。

 

作画面もかなり向上していて、カットごとの差異が減ったどころか、今の目で見ても耐えられるくらいのカットも増えました。

中盤でのコスモタイガーⅡの攻撃シーンとか、あそこは金田伊功[カナダ・ヨシノリ]さんが担当しているのかな、かなり我が強いパース(笑)が利いたカットが多く、見どころの一つです。

そして暗黒星雲を抜けた直後の白色銀河は確実に本作の見どころで、それまでの背景画より数倍も解像度が上がっていて、ただただ美しい絵画です。アニメ作品というと、動く被写体ばかりに目が向いてしまいますが、背景に見とれたのは本作が初です。時間の制約なく、絵画として眺めていたいくらいです。

 

真田澪=サーシャも見どころの一つです。

たった1年であれだけの、特に肉体面の成長を遂げさせちゃうのがヤマト時空の寛容さというか強引さというかね(笑)。

古代に好意を向けるも、そこから先はないと悟る潔さもいじらしいですね。好きだの愛してるだのとハッキリ言わせないのもいい。

男の子視線としては、雪よりも僅かに肉付きが良いのも好ポイントです(笑)。

 

そんなサーシャに絡んだ、波動砲発射を躊躇う古代と真田のシーンは泣けますね。この時の二人を演じるキャストの、”富山敬”や”青野武”としての声を殺してでも役に没入している(ようしか聞こえない)芝居がさすがです。

ついでに言うと、どうにもできない古代に代わって、「ヤマト発進!」の号令を島に言わせるのもいいですね。

 

ただ、敵である暗黒星団が、どうも弱っちぃ印象が強いんですよ。

本作の前日譚である『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』においてはまぁまぁ苦戦させられましたが、今作のヤマトは武装のパワーアップが著しく、戦力差がずいぶん縮まりました。

道中の半ばに現れる暗黒星団の補給空母は基地と呼べるほどの規模なんですが、今作から登場する波動エネルギーを圧縮した波動カートリッジ弾を使って、なんと主砲だけで壊滅させちゃうんですからね。

その反動か波動砲の使いどころがが激減してしまい、波動砲=『~ヤマト』という作品のカタルシスが薄まってしまったのも人気の下落に繋がったのかもしれませんね。

さらに言うと、ヤマトに対して行う攻撃(の一部)が心理作戦ってのもセコすぎる(笑)。まぁ、暗黒星団は波動エネルギーと相性が悪いらしい(波動砲の誘爆で星が滅びるくらい)から、あんまヤマトを怒らせないように慎重&穏便に事を運ぼうとしていたのかもしれませんが…。

そういえば、今作ではワープの使用頻度が高いので、あそこで相対性理論を持ち出しても理には適っているんだよな。

 

『さらば~』以降、映画版『~ヤマト』の主題歌を歌うのは沢田研二さんや島倉千代子さんといった、当時の大物歌手ばかり。

今作でもその風潮は踏襲され、布施明さんと岩崎宏美さんが担当しています。歌詞を見ればキチンと”主題歌”となっているのは一目瞭然で、歌手が作品の一部として歩み寄って行っているのは、この時代の主題歌のいいところです。「お前らの解釈で歌詞を作品にリンクさせてみろよ?」とでも言わんばかりな昨今のタイアップ曲とはドえらい違いなんだぜ?

それはさておき、ヤマトと言えば、ささきいさおさんの存在は欠かせません(何気に全作に楽曲で参加しているし)。

今作で歌っているのは『星のペンダント』という曲。

いつか再会を果たすためのひと時のの別れを歌っていて、言うならば“真っ赤なスカーフ PartⅡ”といった感じ。”あの娘がふっていた真っ赤なスカーフ”に対し、“あの娘がくれた星のペンダント”ですからね(笑)。

あまり陽の目を浴びていない歌ですが、密かな名曲ですよ。

 

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