観た、『キャバレー』 | Joon's blog

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『キャバレー』を観ました。

 

横浜の港町にある寂れたキャバレー、スターダスト。

大学をおざなりにし、サックスマンとしてジャズに打ち込む俊一が今夜も仲間と共に演奏する中、ここ最近の定番となっている一曲のリクエストが舞い込む。

『レフト・アローン』、それはこの町を根城にする菊川組を束ねる滝川が愛する唯一の曲だった。窮地を救われた事を機に、俊一と滝川は言葉を交わす関係になる。

菊川組は関東連合傘下の北憂会に押されつつあり、両組織の抗争が苛烈を増してゆく中、滝川と顔馴染みになった俊一も無関係ではいられなくなり……といったお話。

 

本作は1986年の作品、かつ80年代の邦画を席巻していた角川映画の一つです。

当時はアニメバカだった俺ッチですが、なぜか本作には惹かれるものがあったんですよ。どんな理由だったかは覚えていませんが、アニメ以外の作品でも見て大人っぽい気分になろうとしていたとすれば、我ながら寒い少年だったなぁ(笑)。

本作は、俺ッチがnotアニメ&漫画系で初めて読んだ小説って事で、少なからず愛着のある作品です。

だからというわけでもないけど、当時の品を未だに持ってるよね。

「小説も読んだし、いつか映画も観よう!」と思っていたはずなのに、それが実行できたのが40年近く経ってからというのも情けない話よ…。

 

…というオジサンの昔話はさておき(amazonの商品レビューでこういう極私的な話をしたがる年寄りは老害と呼ばれても当然)、本作の感想を。

主人公がジャズを嗜む青年という事で、全編に渡ってジャズが流れるのがいいですね。わざわざ劇伴なんか作らずとも、既存のジャズ曲で良かったのになぁ。

ジャズ系ミュージシャンの名もちょこちょこ出てきますが、NHK-FMの『ジャズ・トゥナイト』を聞くようになったおかげか、まぁまぁ付いて行けるようになったぜ。

ビジュアルに関しても、特に年代の設定は謳われていませんが、レトロ風味のある雰囲気がいいですね。わざわざ大きめのセットを作っている(と思う)し、角川映画の金の使い方はさすがです。

 

華奢なお坊ちゃん育ちのサックス吹きの青年と、人殺し上等で冷酷無比な中年ヤクザがジャズの名曲『レフト・アローン』を通じて顔馴染みになるというのが面白いですね。

原作だと俊一はヤクザの親分である滝川に向かって一気呵成にまくしたてるものの、滝川は全く気に留めないどころか叱られて謝ってしまうくらいのシーンが多々ありましたが、これらを全てオミットしているのは英断ですね。総じて、二人の会話が少ないのがいい。

荒唐無稽で漫画っぽくなるのを避け、映画版では滝川を無感情&ハードボイルドに徹して描いている故か、原作とは異なる終わり方になるのも仕方ないかな? 鹿賀さんのハマりっぷりを見てしまえば、映画版の終わり方の方が好きって人は多いんじゃないかと思います。

 

80年代の角川映画と言えば、野村宏伸さん推しの傾向が強かった印象(ちなみに90年代は「エノモト~」)。青臭さを漂わせる華奢でヤサ男風のルックスは今見てもカッコイイ、いや、今見ると可愛いですね(笑)。

まだデビューして間もない頃だったのかな? 正直、芝居はまだまだ至らないところだらけです。ところどころで光るものはありますがね。

この対極的にあるのが脇を固めるベテラン陣。特に鹿賀丈史さんがスタイリッシュで本当にカッコ良い。ヤクザという設定ですが、あのルックスを見るとギャングとかマフィアとと呼ぶ方がしっくり来ますね(笑)。

にしても、出演者が無駄に豪華すぎです。角川映画と70年代の東映映画の常連が揃い踏みだもんなぁ。出番は少ないながらも、そんな有名な方々を出演させられるのは、やはり当時の角川映画の力なんでしょうかね?


そんな角川映画のパワーの源となっているのは、やはり角川春樹さんなんでしょうかね。

お金だけでなくスタッフ&キャストも招聘し、その上で作品の方向性を決めるのが製作=プロデューサーの仕事だと思い込んでいますが、春樹さんはこれに長けていたって事なんでしょう。

本作では監督も担当していて、ワンマン映画という揶揄も見掛けますが、キチンと映画ができてないですか?

特に思ったのは1カットの長さ。

あまりカットを割らない長回しが多いおかげで、もちろん役者は負担だろうけど、観ているこちらもそんな芝居に没入できるんですよ。舞台劇にも通じるというかね。

まだ新人と呼ばれたであろう野村さんも、この時に得た経験値は多めだったんじゃないかな?

 

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今回、俺ッチが観たのはTV放送したものでしたが、思い入れもあるし面白くもあったし、近々Blu-ray版は買う予定です。

最近、つくづく角川映画にハマってるな、自分…。