観た、『犬神家の一族』 | Joon's blog

Joon's blog

どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『犬神家の一族』を観ました。

 

製薬業で財を成した犬神佐兵衛の臨終に際し、集まった犬神家の一族。
その目当ては佐兵衛が遺した莫大な財産で、配分を記したであろう遺言の内容に一同は気が気でない。
戦地で大怪我をした佐清[スケキヨ]が到着したところで遺言が開示されるものの、その内容に一族は猛反発。しかも一族ではない、佐兵衛に引き取られたに過ぎない珠世[タマヨ]に相続権がある事には怒りを隠しきれない。
その時から、事業を継ぐはずの佐兵衛の孫たちが次々に殺される事件が発生。
犬神家の顧問弁護士を務める古館を手助けする私立探偵の金田一が事件を追う中、徐々に明らかになって行く佐兵衛の知られざる過去。そして事件の発端と共に浮かび上がる意外な真犯人とは……といったお話。

本作が公開された頃は、同じく横溝正史さん原作の映画がコンスタントに作られ、幼年時代の俺ッチはCM等で流れるショッキングな映像にすらビビッていたものです。
いい歳になってから見れば、朱色のペンキで表現される血みどろの死体に1ミリも動じる事はないんですが、むしろそれ以外の、何でもないシーンが不気味なんですよね。
典型的な日本家屋である佐兵衛の邸宅なんか、夜には歩きたくないよね。金あるんだからもう少し照明を増やしてくれよと(笑)。
総じて曇天とか夜のシーンが多く、彩度の低い画が不穏な雰囲気を与えます。それでいて暗すぎて何が起きているのか分かんないシーンが(ほぼ)ないのが巧いんですよね。

ある意味で、最も怖かったのは梅子が佐智[スケトモ]の死体を発見したシーン。
死体を見つけて「キャーッ!」と大声で叫ぶド定番ではない、脚本にはどう書いてあったんだ?と思わせるようなリアクションが強烈でした。
あの画、何となく楳図かずおさんの画風を思い出しませんか(笑)?

金持ちの先代の今わの際に一族が集まり、遺産を巡って火花を散らす遺族たちを描くドラマは多々ありますが、本作はその始祖たる存在でしょうか。
親が死んで、残された兄弟姉妹が1円でも多く遺産をガメようとバチバチ火花を散らす展開とか、横溝正史さん原作のサスペンス映画って常にこんな事をやってるイメージ。そんなドロドロ&ガツガツした銭ゲバ連中に交じっている無欲な人が一番得をするというところまでが1セットでね(笑)。

あの仮面のせいか、今やネタキャラのように扱われる佐清。漢字じゃ読めないだろうとは言え、“スケキヨ”なんて表記を見るとイラッとするんですよ。
仮面は戦争で負った大きな怪我を隠すためのもの。素顔を晒すのがクライマックスなのかなと思いきや、割と早い段階で見せちゃうのは意外でしたね。その顔は今の目で見てもチトやりすぎにすら思えるほどで、これを見てしまえば、今の時代の小学生でも怖くて寝れない日々が続くかも(笑)。
そんな佐清さん、顔は出せなくともアンタには超絶カッコいい声が残されているんだぜ! 

割とどうでもいい小ネタですが、警察署長(橘という名だそうな)がちょいちょい披露する「よし、分かった!」という一発ギャグ(?)って、『TRICK』シリーズに登場する矢部謙三の元ネタだったのね。

 

*******************

*******************

*******************

 

そーいや、色々と調べていているうちに思い出しましたが、

*******************

*******************

リメイク版なんてあったんだよね。『八つ墓村』は覚えてたけど。

どちらも市川崑さんが監督を担当したセルフリメイクなので、あんま突拍子もない要素はないと思いますがどうなんでしょ? 個人的には主題歌に違和感…。