『大魔神逆襲』を観ました。
今日は木こりの男たちが山から帰ってくる日。子供を初めとする村人たちは歓迎の準備で大忙しだ。
しかし、帰ってきたのは傷だらけになった金太の兄ただ一人。近隣諸国の侵略を目論む荒川家の飛騨守が、金太の兄を初めとする村の木こりたちを捕らえ、硫黄が湧く地獄谷に連れ去ったというのだ。
厳しい監視を潜り抜けて彼らを救い出すには荒神が棲む山を越えるしかない――その言葉を聞いた鶴吉や金太たちは父や兄を救うため荒神の山を越える事を決意、大人たちには内緒で出発する。
鶴吉らは飛騨守の手下たちの目をかいくぐりながら峻険な山道を進む。そんな子供らの様子を、魔神の使いとされる一羽の鷹が見つめ続け……といったお話。
シリーズ第3作。
子供が主役と聞いてガッカリした人も少なくないんじゃないかな?
この手の特撮作品で子供キャラを登場させるのは、これを見るちびっ子と同世代の役が活躍する様を見て親近感を与える→感情移入しやすくさせるのが目的なんじゃないかと。
もしそうだとしたら、分かってないよね。
ちびっ子(だった頃の自分)が、大人顔負けの活躍をする同年代の子供を見て心が浮き立ちますか? ちびっ子が憧れるのは年上のお兄さんじゃない? 同世代のキャラとしてシンパシーを感じるのって、中高生あたりからだと思うんですよ。
そもそも『大魔神』というシリーズは子供が見る事を優先する作風ではないし、子供に見てもらいたいから子供(キャラ)を登場させるという浅い考えを持ち込んだのは、やっちまったなと。
この件とシリーズ3作目という共通点から、『マッドマックス』シリーズを連想します…。
昭和の頃は、特にこの手の作品に登場する子役と言えば、あまりの大根っぷりに目を覆うのがほとんどですが、本作に登場(出演)する子供たちは芸達者な方ではないでしょうか?
特に主人公である鶴吉を演じた二宮秀樹さんは可愛くもあり逞しくもあり、もはや純真無垢の権化にしか見えませんよ(笑)。
他の3人もけっこう頑張っていて、父親目線で応援したくなるくらいにはいい芝居を見せてくれます。
かなりハードな山道を歩かされたり、地味に危険な環境で撮影しているんですよね。昭和のガキのタフさを見習おうぜ!
…と、これにて大魔神シリーズは完結(というより終了)。
ここで驚くべきは、シリーズ3作が全て1966年=たった1年以内に公開されている点です。
ヒットしたのが分かったら即座に次作を考えた上で実行に移し、公開にまで漕ぎ着けるんだから仕事が早いというか貪欲さが違いますよね。続編は決まったものの公開まで何年も待たされる昨今の風潮とはえらい違いだよ。
見た目=画面に限った話で言えば、セットは大きく&ミニチュアは細かく作られているし、突貫撮影の割にはその辺の手抜きや妥協が少ない点には拍手です。
ところで約30年前、『大魔神』復活プロジェクトとしてストーリーを一般公募するという告知がありました。
当時は1ミリも興味なかったので完全スルーでしたが、今なら応募してみたいなぁ。
タイトルは『大魔神対決』。
西洋のとある国が日本との親睦を深めるために贈呈した神像。それは、これまでに幾多の厄災を起こしてきた邪神像であり、祟りを恐れて壊す事もできず、日本に持ち込んだのも厄介払いを兼ねてのものだった。
その正体を見抜いた者たちの手により神像は邪神となって動き出し、破壊の限りを尽くす。そんな邪神の暴虐を憂い嘆く少女の願いにより魔神も復活、今ここに魔神と邪神の闘いが始まる……といった思い付きですが、どうだい、『大魔神カノン』よりは熱くなれそうだろう(笑)?
もしくは現代を舞台に、ビル街のど真ん中に大魔神が現れるなんてのはどうでしょう? 神が相手ではもちろん近代兵器も全く役に立たないだけでなく、神通力によって返り討ちに遭うとか面白そうじゃないですか?
俺ッチは全面的に協力しますので、大映映画さん、いつでも連絡下さい!←永遠に来ね~…
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Blu-ray版の映像特典は前作に続き、撮影を担当した森田富士郎さんへのインタビューや予告編です。
あまり興が乗らない内容ですが、本作のスタッフ&キャストを見ても、呼んで来れなさそうな人ばかりだからな…。