『ゴルゴ13』を観ました。
…ん? 確か、前にも観てなかったっけ?と覚えてるどころか、知っている人もいないだろうけど、前に観たのは1983年の劇場(アニメ)版。
今回観たのは1973年の劇場版、すなわち実写版です。
世界中で武器や麻薬を密売するマックス・ボアがイランにやって来る。ボアは新たに、各地からさらってきた美女たちの売買を始め、イラン警察のアマン警部の妻シーラまでもが捕らわれの身となってしまう。
これを危険視する某国政府はボアを暗殺するため、ある男を呼び寄せる。男の名はデューク東郷、またの名をゴルゴ13――不可能を可能にする、超一流のスナイパーだ。
依頼を引き受けたデュークは、イランのテヘランへ飛び調査を開始。顔すら分からなかったボアをついに探し出し、暗殺に成功したように思えたが……といったお話。
「『ゴルゴ13』の実写版って、高倉健の出てるやつ?」と、半笑いで話した経験のある人は少なくないかもしれません。
俺ッチも若い時分には完全にキワモノを見る目で、話題の種にと思いつつ観てみましたが、ただただ眠気に襲われるだけの作品で終わってしまいました(笑)。
…が、それからウン10年、いい歳になって『ゴルゴ13』という作品の面白さが分かってきた今、改めて本作を観てみれば、これが実に面白い。
…いや、正確には面白いとはチト違うかな、原作の雰囲気がしっかり出ている事に驚けるんですよ。元々、映画的な見せ方が多い作品なので、実写にしたところで無理がないという証左かな?
初めて観た時につまんないと感じていたのはゴルゴの出番が少ないせいだったってのもありますが、後年の漫画版と比べれば、本作のゴルゴの出番はかなり多い方です(笑)。
脚本は原作者であるさいとう・たかをさんというのも、なるほどですね。
ゴルゴの仕事のルールも含め、仲間が倒れても動揺や躊躇はしない非情さ、どことなく漂う虚無感といった原作の雰囲気が上手く出ていて、原作に忠実とはこういう事でもあるんだと実感します。
地雷を狙撃する神業や、本物のボアを見つけ出すための推察、そして最後の一発といった“ゴルゴあるある”とか、ド初期である10巻くらいまで読んだ人であれば、本作を原作とした漫画版として脳内変換できるんじゃないかな?
故に、原作の作風を理解している人ほど面白いと感じる作品だと思います。
元々『ゴルゴ13』という作品は基本的には短編集なので、83年の劇場アニメ版は数あるエピソードをミックスして1本の映画に仕立てていましたが、本作は原作にはない(と思う)完全オリジナルである点も評価していいポイントですね。
個人的には最終回よりも、本作のコミカライズ版を描いて欲しかったよ、・たかをさん…!
初めて見た際に眠くなってしまったのは、背景も理由の一つに思えます。
映画における砂漠の画って退屈に感じませんか? 砂漠のみならず、全体的にいかにも砂~って感じの色調が続くので、お話が盛り上がってくれないからには、やっぱり眠くなるんですよ。
全編が海外ロケという事でそんな風景ばかりですが、邦画でありながら異国情緒が漂っているだけでなく、イランの建築様式や遺跡も十分な見どころになり得ているんだなと、この歳になって気付きました。
そもそもイランを舞台にしてるのも、どこか新鮮です。あの辺って、映画の舞台にするには色々と厄介事がまとわりついてきそうな国が多いから…(笑)。
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俺ッチはネットで映画を習慣はないので↑は利用しませんが、俺ッチが買ったBlu-ray版はまだ扱っていないようです。
昨今はメーカーとしての印象も悪い上に、変身ヒーロー系に注力してばかりいる東映ビデオだから、日本での販売はあんま期待できませんね。