『パシフィック・リム』を観ました。
突如、この世界に現れた巨大生物。太平洋の深海に発生した次元の裂け目からやって来るそれらは“怪獣”と呼ばれ、太平洋に面する国々は一丸となり、怪獣に対抗するための兵器として人型巨大ロボット“イェーガー”を開発する。
しかし、続々と現れるだけでなく進化を続ける怪獣に対してイェーガーの開発力が追い付かない上、各国が対怪獣用の防護壁=“命の壁”を建設するようになり、イェーガー不要論すら出てくる有様だ。
そんな状況の中、命の壁の建設作業員のローリーは、かつての上官ペントコスト司令に連行される。ローリーはイェーガーのパイロットであり、怪獣との戦いにより兄を失った過去があった。
ローリーは再びパイロットとして、怪獣に復讐心を燃やすマコと共にイェーガーに乗り込む。次々と現れる怪獣と戦い続ける中、怪獣の通り道である次元の裂け目を破壊する作戦が立案され……といったお話。
日本のみならず、海外でもまぁまぁ浸透している(と思う)ジャンルとして巨大怪獣モノがあります。
その多くは怪獣が暴れて、それと同等の怪獣同士が闘う、もしくは人類が総力を上げてこれを退治するという内容です。
俺ッチは巨大怪獣モノはあまり通らないジャンルで、巨大な脅威に対してそれ相応の力で対応する、つまり怪獣に拮抗でき得る力を持ったヒーローが現れてくれないと面白く感じないというか、熱くなれないんですよね。
そんな巨大ヒーローが登場する海外作品ってないものかなぁと思っていたところに、満を持して登場したのが本作です。
日本では巨大ロボットに妙な信仰心を持つ人が少なくありませんし、ロボットアニメの延長として本作を観た人も少なくないのでは?
イェーガーや怪獣の質感を表すテクスチャーのみならず、背景やら何やら、CGと分かる画の解像度が半端じゃありません。建築物等が破壊された時に飛び散る破片が細かい!
背景と言えば、日本の街並みが登場する場面もありますが、こちらの文化考証は10年遅れていますね。「日本の文化を曲解している!」といちいち噛み付く連中が多いですが(もはや作品の観点が違う)、そんな隙を与えてしまうのが惜しいです。
この辺、香港の人も似たような事を思ってるのかなぁ。
注目すべきは巨大ロボの戦闘シーンばかりではなく、退屈しない程度に人間ドラマに時間を割いているのもいいですね。悲しい過去や闘争心の根源、ライバルとの確執や自己犠牲等々、なかなかツボを突いています。
ローリーの新たな相棒はマコという女性で、偶然知り合った男女が共に苦難を乗り越え、ラストでは濃厚なキスで締めるという、今だに健在なハリウッドパターンを懸念しますが、そうはならないのが好印象です。こりゃ行くな?と思わせといて、ギリギリセーフみたいな(笑)。
怪獣の正体に近付く要素は要らなかったかな?
地球にやって来る理由を含めた怪獣側の思考なぞ人類には分かり得ないような、未知の存在だった方がミステリアスで良かったと思います。いちいち理にかなった理由付けをしてしまうのが、近年の作品の無粋に感じる点ですね。そういうのがやりたければ続編で後付けしてくれればいいんです。
日本の作品の影響下にあるからって安易にパクりだとか言えちゃう人もいますが、確かに日本のこの手の作品で例えられるものもありますが、そこから一歩進んだ新鮮な設定も少なくありません。
中でも、パイロット二人の記憶や意識をリンクさせるブレイン・ハンドシェイクを通じてイェーガーを動かすシステムは面白いですね。機械を使って強引にお互いを“分かり合わせる”という、人工的にニュータイプの共鳴を引き起こせるというアレンジでパクれそうなアイデアです(笑)。
本作は2013年の作品という事で、もう10年も経つんだなぁと時の流れを実感しますね。現在の芦田愛菜さんを見れば分かりやすいと思います(笑)。
上から数えた方が早い位置にビリングされているんだから、あちらの方々も分かっていらっしゃる…!
観よう観ようと思いつつ10年も先延ばしにしていた俺ッチですが、本作を観てから買おうと思っていたイェーガーのプラモデルは、もはや店頭どころか市場からも消え去ったのが残念です(正確にはキット化されていたのは次作に登場するイェーガーですが)。
嗚呼、4割引きでも売れ残っていたあの時代に戻りたひ…。
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Blu-ray版の特典は音声解説と、ちょっとしたメイキングです。