観た、『キャスト・アウェイ』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『キャスト・アウェイ』を観ました。

 

フェデックスに勤めるチャックは、世界各国の支店を飛び回っては従業員に時間の大切さを説くという多忙の日々を送っていた。

恋人のケリーとまた会う日取り、そしてプロポーズの約束を交わし、チャックは次の支店に向かう。

夜間の、悪天候の中のフライトが災いし、チャックを乗せた飛行機は墜落事故を起こしてしまう。

どうにか生き延びたチャックは浜に打ち上げられていた。周囲を探索してみると、ここが無人島である事に愕然とするチャック。

生き延びるため、そして島を脱出するため、チャックの孤独で過酷な闘いが始まる……といったお話。

 

無人島を舞台にした作品は多々ありますが、それらの中でも抜きん出ているのが本作です。

無人島に漂着するのがたった一人という作品は、おそらく本作だけじゃないかと。

無人島に着いてからというもの、モノローグでペラペラと心情を吐露する事もなければ、ケリーや会社の様子を見せるようなシーンも一切ないという、映画のセオリーを外した見せ方が新鮮です。ウィルソンが登場するまで、セリフの量が激減するもんね(笑)。

チャックだけが出ずっぱりで、サバイバル生活に孤軍奮闘する姿だけを淡々と映すという、ちょっとしたドキュメント風映像っぽくもあるんですね。

 

サバイバル生活を描いた作品においては、真っ先に飲み食いできる物の確保ばかりが優先して描かれますが、実際の生活においては排泄も重要な営みです。

外界から閉ざされた空間に、日にち単位で閉じ込められるお話があるけど、そういう時に尿意や便意を催さないの?と感じると同時にリアリティが欠けてるなぁと。

本作ではその辺はキチンと両方の対処法(笑)が描かれているので、説得力がありますね。さすがに克明には見せませんが…。

 

そして、本作でしか描かれないであろうサバイバル生活の苦労や辛さの要素、それは孤独です。

俺ッチには1週間ほど自分の声を聞かずに暮らしてみたいという奇特な願望がありまして(笑)、そのためには絶対的な孤独が必要です。

けど、実際にそんな状況に陥ったなら、ウィルソンのような存在を欲しがってしまうのかもしれないなぁと。

端から見ればヤベー奴ですが、ああいう相手と話す人というのは孤独という辛さ、もしくは恐怖から免れたいという欲があるって事なんでしょうかね。

それを多少なりとも理解できる人は、ウィルソンとの結末には泣いてしまうでしょうね。泣いたよ…。

 

本作は2001年の作品。

今ほどではないにせよ、メンド臭ぇ連中(正確には愉快犯)がいない事もなかった時代であろうに、自社名を貸したフェデックスの心意気には拍手ですね。

自社の飛行機が事故を起こし、死者を出したり、荷物を紛失したり、社員が客の荷物を開封してしまうといった不祥事ばかりが描かれる事(笑)に加え、絵空事を真に受けてクレームを入れるバカたちの相手を懸念して、普通なら看板を貸す事を遠慮するところですが、デカい会社というのは器量もデカいんだなぁと実感します。

映画製作者との擦り合わせも上手くできていたんでしょうね。

 

島を脱出した後日譚までも描いているのが秀逸とされていますが、こっちはちょっと物足りないですね。

社会復帰というより会社復帰に関する話がもう少し欲しかったんですよ。

序盤で描かれていたようにチャックは仕事に厳しい人で、それ相応の結果も出していたようです。そんな会社にとって益をもたらす=有能な人が不在となった場合、とりあえず的にでも会社が採るべき対応は代わりの人を立てる事。

ここで現実の話がダブりますが、世の中には育児休暇と銘打って悠長に数か月間も会社を休める人がいますが、少しくらいいなくても問題ないと思われている、もしくは自分が休んでいる間に自分の立場が奪われるかもしれないといった心配や焦りはないんでしょうか?と。

チャックは年単位で休職(?)していましたが、そこまでのブランクがあれば、おそらく以前のような働きぶりを見せる事はもうないでしょう。文明と切り離された生活を送っていたせいか、もう顔つきが違うもんね(こういう演出や芝居が上手い)。

同僚は心配するなと助言しますが、どこまで本気で言っているのやら、この辺の人間関係のリアルまで描くとなると20分は尺が伸びちゃうかな?

そもそも、ケリーとの話なんか5分でいいんですよ…(笑)。

 

余談ながら、各メディアが本作を紹介する際、チャックは敏腕システムエンジニア=SEと称されていますが、ああいうのもSEっていうの? パソコンとにらめっこしてるイメージしか持ってないので…。

イメージ的に“支店長”とか“マネージャー”なんて肩書きの方が似合ってるんだけど。

 

にしても、本作と言い『トゥルーマン・ショー』と言い、あちらの人たちは『進め(ぬ)!電波少年』でも見てたんかいな…。

 

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Blu-ray版は、映像特典は一切ありません。吹替版があるだけマシか…。