観た、『ストリート・オブ・ファイヤー』 | Joon's blog

Joon's blog

どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『ストリート・オブ・ファイヤー』を観ました。

 

ロックの女王エレンのライブに熱狂する街の人々。そのさ中、我が物顔で街を蹂躙するボンバーズがエレンをさらって行く。ボンバーズの勢力には警察でも歯が立たない。

観客の一人だったリバは弟のトムに、昔の恋人だったエレンを救って欲しいと頼むが、トムはエレンが音楽の道に進む事で別れざるを得なくなってしまった過去を今でも苦々しく思っていた。

トムは報酬1万ドルを目当てに、今はエレンと付き合っているマネージャーのビリー、陸軍上がりの男勝りなマッコイと共にボンバーズのアジトに向かう……といったお話。

 

公開当時は日本で、特に若い人にずいぶん人気があったようです。

どれほどの人気だったのかと言えば、映画史の大御所『キネマ旬報』における1984年度の読者アンケートで堂々の1位を獲ったんだとか。

若い人向けな『スクリーン』や『ロードショー』あたりならまだしも、あんなお堅い『キネ旬』で1位を獲れるほどの内容か~?とも思いますが(笑)、当時の熱狂ぶりはそれほどのものだったんでしょう。ブームというやつは後年になってようやく冷静に、客観視できるものですから…。

 

数年ぶりに帰ってきた男が街を救うため、ならず者たちを懲らしめて再び街を去って行くという明快なストーリーは、西部劇のようなテイストがありますね。

さらにノリのいい音楽も加わり、あまり小難しく考えずに楽しむのがベストな鑑賞法です。94分という尺もいい。

付き合いが長くなりそうな作品に巡り合った気がします。

 

かつての恋人エレンを救出するが、その理由はあくまで金のためと言い張るトム。未練はたっぷりあるものの、心にもない事を言ってエレンを突き放すトムですが、この青臭さが可愛いじゃありませんか(笑)。

愛した女のために身を引こうとする男のやせ我慢、それはトムだけでなく、心底ではトムに負けている自覚があるビリーも同様なんですよね。

前向きな終わり方をするものの、どこか哀しさを感じさせる作品なのです。

 

出演者に関しては、主役のマイケル・パレさんとダイアン・レインさんを言及すべきところなんでしょうが、両者の作品は見ていないに等しいのでスルー。

って事で、レイヴンを演じたウィレム・デフォーさんの若々しい姿に注目したい!んですが……この頃の悪役のルックスだったとしても、ちょっとキツいです(笑)。

リーゼントは良しとしても裸にオーバーオールという、ちょっとホモっぽいルックスは笑っちゃう寸前です。別名、本人が封印したがるやつじゃないかな…(そのせいなのか、ドキュメンタリーにも登場していなかった…)。

 

男勝りな女キャラのマッコイがいいですね。

元々マッコイは男キャラでしたが、エイミー・マディガンさんの提案により女キャラに変更され、これを演じたんだとか。

これはナイス判断! 確かに、あれが男だったとしたら平凡なキャラで終わっていたでしょうね。

男女でありながらバディのような関係が面白いんですよ。

 

個人的に一番熱いのはラストでのライブでエレンが歌う『Tonight Is What It Means To Be Young』→『今夜は青春』(なんつー邦題…)。

***************

***************

コレですね。

コレもいいんですが………バカヤロー何言ってんだ、『今夜はANGEL』だろ!

***************

***************

 

***************

日本語カバーではあるけど、個人的にはこっちの方に思い入れがあるのでね。

 

…と、『ヤヌスの鏡』の主題歌を持ち出しましたが、そんな先入観もあってか、本作はどことな~く大映ドラマのようなテイストを感じるんですよ。

不良グループに立ち向かう主人公とライバル同士の張り合い、本当は好き合っているのに素直になれない男女、役に立たない警察、嫌味だったり協力的だったりする仲間あたりの要素は、割と上手い具合に大映ドラマ変換ができそうじゃないですか?

さらにキャストも変換(もちろん80年代当時)するなら、

 ・コーディ → 石橋保さん

 ・エレン → 伊藤かずえさん

 ・ビリー → 宮川一朗太さん

 ・マッコイ → 相楽ハル子さん(◎)

 ・レイヴン → 松村雄基さん

 ・リバ → 岡田奈々さん(◎)

コーディとエレンはビミョーだけど、特に“◎”に関してはかなり自信ありますよ(笑)。

 

話はスゲー変わるけど、、カプコンの『ファイナルファイト』って、確実に本作の影響下にあるよね。

ウン10年も洋画を観てきたけど、“コーディ”という名前は本作以外に見た覚えがないし(ルックスもどことなく似せてる)。

あの頃のゲームって、開発者が自分らの好きなものを投影する無節操な時代だったよな。オマージュとかパロディよりも遥かに低次元な、“パクリ”という言葉こそが相応しいというか。

 

**********************

**********************

**********************

Blu-ray版は映像特典満載です。195分もあるんだよ?

 

ちなみに、今回は吹替版で鑑賞しました。

トム=マイケル・パレさんを担当するのは池田秀一さん。池田さんと言えば赤にこだわる軍人の役が知れ渡っていますが、アニメにおける池田さんの芝居って大同小異というか、正直、あまり変わり映えしない印象があります。

そんな先入観を持ちながら本作を観ると、同じ吹替でありながらアニメと洋画の芝居って違うんだなぁと実感します。シャアの印象なんか絶無ですよ。