『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』を観ました。
新たな安住の地を求め宇宙をさすらうガミラス帝国。デスラー総統は一旦の別れを告げるべく、母星であるガミラス星に向かう。そこでデスラーが目にしたのは、謎の敵船団による採掘現場だった。
怒りに駆られるデスラーは攻撃を開始。その戦闘の中、地殻変動を起こしたガミラス星は大爆発を起こしてしまう。
ガミラス星が消滅した事で、引力で結ばれた双子星の片割れであるイスカンダル星は軌道を外れ、宇宙を暴走し始める。
デスラーからの打電により、イスカンダルに駆け付けたヤマト。しかし、そこにガミラス星を破壊した謎の船団の正体である暗黒星団帝国が現れ……といったお話。
前作『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の衝撃が強すぎたせいで、本作以降のヤマトシリーズは蛇足、かつ邪道と感じる人は少なくありません。
若かりし俺ッチもその中の一人でしたが、歳を取って(当時よりは)見識も広がった今に再見すると新しい発見もあり、1本の作品として十分に楽しめる作品に思えました。
…なら、何が蛇足なんだと聞かれれば、矛盾が多すぎる点にあるでしょう。
手っ取り早いところでは、古代と雪がいる時点でもうね。もっとマニアックなところでは、スターシャと守がいるのもね。
若い頃はこの辺の辻褄合わせが上手く行っていない事に腹を立てたものですが、そんな不毛に疲れるオジサンになってくると、もはや開き直って気楽に楽しめるものです。
今に思えば、過去作との矛盾の指摘って、自分の博識をひけらかすようでみっともないなと反省。
で、久々の鑑賞で思うのは、今作はデスラーのお話なんだなと。
今作では前作=劇場版『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』orテレビ版『宇宙戦艦ヤマト2』以上に人間味のあるところを見せてくれます。
いずれは滅びる運命にあったとは言え、目の前で故郷を失い、呆然のあまり膝をつく姿には悲哀を感じます。第1作では星がどうなろうとお構いなしにボカスカやってましたが(笑)、それが取り返しの付かないものだったという反省から、郷土愛を感じられるような人間になったんでしょう。
スターシャへの秘めた愛を明確に表すのもいいですね。まぁ、昔は電話で話すくらいの仲だったし(笑)。
暴走するイスカンダルを、全軍を率いてまでも追う姿は私情の極み。イスカンダルに追いついたところで、スターシャには守という揺るがない存在があるし…。
失ってばかりで哀しいばかりのデスラーが、唯一得たものは古代との確固たる友情というのが僅かながらの救いかな。
ところで……ガミラス星との引力がなくなり軌道を外れたイスカンダルが暴走し、速度が増していくのは腑に落とせるんですが……星ってワープできちゃうんですか? 真田さん、教えて!
今作の時代設定は、なんと前作=白色彗星帝国との決着がついた翌月です。あの凄絶な戦いを知っていれば、そりゃ“なんと”と付けるのも分かるでしょ?
そもそも、ヤマトの世界における事件のスパンって、スゲー無理があるんですよ。
2192年 ガミラス星からの攻撃が開始、地球は放射能汚染に
2199年 イスカンダルに向けてヤマト発進、地球滅亡まで1年
2200年 ヤマト帰還、コスモクリーナーDにより地球の復興開始
2201年 白色彗星襲来、ヤマトにて撃滅
…と、なかなかハードなスケジュールです(笑)。
中でも強烈なのは2200~2201年で、地球規模での復興も完璧に終え、新たな宇宙戦艦までバンバン作ってるもんなぁ…。
“新たなる旅立ち”と謳っているだけあって、ヤマト乗組員として新顔が多々就任。
その中でも北野と坂本は主役に近いポジションとなり得そうだったんですが、そうはならず。以降の続編には登場しない事から、どうやら今作でリストラされてしまったようです。
「…北野と坂本? どんな奴だったっけ?」
「いたじゃん、パンイチで走ってた奴?」
「ああ、そんなのいたね~」
とか、他の卒業生たちに噂されてそう…(笑)。
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映像特典は未公開シーンや原画の静止画です。
Blu-rayになって画質が良くなったのはいいけど、ホコリや汚れが目立ちます…。