『ハスラー2』を観ました。
あれから25年。エディは酒のセールスマンとして気ままに生きていた。
ある日、エディはビリヤードに興じるビンセントを見掛ける。その腕前はかなりのもので、エディはビンセントの中に若い頃の自分を見い出す。
エディはビンセントと組み、数か月後にアトランティックシティで行われるナインボールの大会への出場を目指す。エディはその間にハスラーとして、プロとしてのテクニックを叩き込もうとするが、根っからの勝負師であるビンセントに手を焼くばかり。
そんなビンセントを見ているうちに、闘争心に火が付いたエディは再びキューを握り……といったお話。
前作から25年もの時を経た、『ハスラー』の正統な続編です。
近年の有名どころでは『トップガン マーヴェリック』ですかね、数十年ぶりに続編が作られるという事で、ほぼリアルタイムで歳を取り、父親世代になった主人公が息子くらいの若者と共に再び活躍するという作品が増えています。
今後もそんな父親参観的な作品が続々と登場しそうな雰囲気を感じますが、本作はその先駆けとなる作品とも呼べるでしょう。
なかなか老けない人だから気の早い話になりますが、トム・クルーズさんが今ほどアクティブに動けない歳になった際にでも、エディの孫世代が活躍するような続編でもやって欲しいですね。
とは言え、題材がビリヤードなんて21世紀には通用しないかな…。
現代に通用しないと言えば、本作の、若者に節介を焼く老人というシチュエーション。
“若者は何も知らないんだから、どれ、何でもよく御存知な俺が教えてやろう”と出しゃばるオジサンが老害呼ばわりされる憐れな光景、ちょいちょいネットで見るじゃないですか(笑)。
そんな調子で「見ず知らずのジイさんの酔狂に付き合わされるビンセントが気の毒だ」とか言い出しそうだし、若い人には見ないで欲しい作品ですね。
今やエディを親身になって叱ってくれる人としてありがたがるビンセントのような若者は、とっくに絶滅してるんですよ…。
『ハスラー』のエディと言えばポール・ニューマンさんだし、この人がいなければ続編もへったくれもありません。
前作では見事なキュー捌きを見せてくれましたが、本作でようやくエディがキューを握ったと思ったら変なカットでごまかされて、やっぱりニューマンさん自身が突くカットはないんだなと落胆します。
…が、それは序盤の話で、エディが再び練習を始めるあたりからはニューマンさん自身が突くカットが続出。ビシバシと球を沈めるシーンが華麗、かつ爽快です。
父親どころか初老となりながら、ビンセントという若者に自分の技を仕込んでいるうちに当時の自分を見い出し、再び戦いたいという欲が芽生え始めるエディ。
久々にキューを手に取り、老いと戦いながらも徐々に勘を取り戻し、ついには大会に出場できるくらいに復活します。
いくら昔取った杵柄だからって程があるだろ!と突っ込みたくもなりますが、たかだか四半世紀の間キューを握っていなくても、久々&僅かな練習で復活できるんだから、昔のエディはそれほどまでにスゴい腕前だったという表れなのです。
とは言え、前作=まだ若かった頃のテクニックに追いつく事もなく、現役のハスラーの芝居にまんまと騙されて悔しがるエディの姿は悲哀に満ち満ちています。
真の勝者になるには常勝は禁物で、時として負ける事が肝要である事をビンセントに教えていたはずなのに、言ってる自分が引っ掛かってしまう惨めさ…。
ビンセントに対して偉そうに言っておきながら、自分も相手の手口に引っ掛かってしまう弱さがエディにもあるという、人間味を感じる良いシーンです。
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配信版はないようですね。
Blu-ray版は映像特典も吹替版もないド最低限仕様なので、お買い得感は薄いです。
ところで字幕に関してですが、前作では“疾風のエディ”だったのが本作では“ファースト・エディ”となっているのが残念。もちろんカッコ良いのは前作だよね。
メーカーやら字幕担当者が別になってしまうのは仕方ないとは言え、そういう共通感をうまく引き継げないものかなぁと…。