『機動戦士ZガンダムⅢ A New Translation 星の鼓動は愛』を観ました。
ティターンズを出し抜き、どうにかアクシズと接触したエゥーゴは会談に臨む。しかし、ザビ家の正統な後継者であるミネバが幼児であるのをいい事に、摂政としてアクシズを我が物にするハマーンのやり方に激怒するクワトロ=シャアのために交渉は決裂。
結果、エゥーゴとティターンズ、そしてアクシズを交えた三つ巴の戦いが繰り広げられる。
様々な人々の葛藤や死を見てきたカミーユは、真に倒すべき相手との決戦に挑み……といったお話。
劇場版Zガンダム最終章です。
そんな今作は人間ドラマが希薄で、おおよそ5~7割が戦闘シーンです。戦闘シーンは多いけど、どんな理由で戦っているのかを追いかける戦争映画のような様相というか。
シャアとハマーンとの確執、レコアの裏切り、ジャミトフの暗殺――ドラマがあるとすればこの程度で、あとはせいぜい戦闘中に誰が死んだとか。
つまり、ノーマルスーツを着てる時間が長すぎるんですよね。
昔の俺ッチであればそれでヨシとしたものですが、歳を取るほどにロボットへの愛着は希薄となり、それ故、『~Zガンダム』というドラマとしては今作が一番つまらない作品になってしまった感が否めません。
戦闘シーンは息詰まるほどに熱くもなりますが、『~(Ⅰ)』のMk-Ⅱ&百式VSアッシマー戦の衝撃が強すぎたせいか、それ以降は正直パッとしないというのが正直な感想。
もちろん緻密、かつ洗練されているのは分かるんですがね(ビームサーベルの太さの指定するとか!)。
60をとっくに過ぎて、こんなコンテを切る富野由悠季さんの感性はまだまだ瑞々しい…!
“野獣”と喩えられ、いかにもロボットアニメバカに好かれそうなヤザンが、オリジナル版に比べちょっとキャラ変したかな?
作戦内容や状況を大局的に見据えるようになって沈着さが身に付いた(?)せいか、とりあえず戦闘になればどうにかなるといった感が抜けた感じがします。子供みたいな戦い方は止めろと、バスクにも指摘されていたしね。
最大の話題はカミーユが迎えるラストであり、テレビ版とは違う終わり方をするという触れ込みにワクワク&ヒヤヒヤしたものです。
そして、いざフタを開けてみると……ある意味、テレビ版よりも衝撃的な終わり方(笑)。
とは言え、そこに至るまで色んな女性の間でフラフラしていた(?)カミーユですが、ようやく戻るべき場所に帰ってきたという事なんでしょう。
人目もはばからず(サエグサにも冷やかされていましたし)、ああいう抱き合い方ができるのは、身も心も委ねていいと思える相手である事の実感から来るものなんでしょう。
ラストを見るたび、独り身である事が虚しくなる作品なのです(笑)。
ラストと言えば、エンディングで流れる主題歌『Love Letter』がいい雰囲気を与え……るんですが、その後に流れる『Dybbuk』で余韻が台無しにされる感じがイラッ。
主題歌は1作目から一貫してGacktさんが担当していて、それぞれがいい曲に思えたものですが、最後の最後でハズしちゃった感じ。『Love Letter』フルコーラスで良かったじゃん…。
…だから当時から俺ッチは言っていたんだよ、Zガンダムの主題歌なら森口博子さん一択だって! キャストの変更よか、こっちの方を声を大にして言いたい!
そういえば、公開当時の富野由悠季さんとGacktさんの謎の蜜月の関係、現在でも続いているのかな…。
キャストと言えば、オリジナル版の役を続投する声優が多いのは結構だけど、確実に老いを感じてさせる方が多いです。張りがないだけでなく、滑舌というか呂律が回ってないような、まぁ人間20年も経てば様々な変化が現れるものなのは分かるんですが…。
そんな中でも、カミーユを演じる飛田展男さんだけは例外中の例外。キチンと聞き比べれば違いはあるんでしょうが、しっかり喋れて声も変わってないんだから、これには拍手! 岡本麻弥さんもまだまだ大丈夫ですね。
劇場版を製作するにあたり、飛田さんはオリジナルキャストでありながら再びカミーユ役としてわざわざオーディションを受けさせられたそうですが、これは形式上のものだとは思います。
だって……ハッキリ言ってしまえば、飛田さんよりもよっぽどマズいオリジナルキャストなんてゴロゴロいるじゃん?
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