『ミッドウェイ』を観ました。1976年版の方ね。
ハワイの真珠湾攻撃に成功してから約半年。アメリカ軍による東京への爆撃を機に、山本五十六大将はMI作戦を提言。アメリカ本土を目指し、連合艦隊をミッドウェイ島に向ける。
一方、日本軍の暗号解読に成功したアメリカ軍は、日本の艦隊の進路がミッドウェイ島である事を突き止める。
しかし、真珠湾攻撃で受けた太平洋艦隊の被害は甚大で、物量に劣るアメリカ軍は策を練りつつ、3隻の空母からなる艦隊を出撃させ……といったお話。
真珠湾攻撃から約半年後に起きた、ハワイ(諸島)の北西にあるミッドウェー諸島で起きたという、ミッドウェー海戦を描いたお話です。
映画としては何の関連もありませんが、現実に即して考えてみれば、本作は“トラ!トラ!トラ!2”といったところでしょう(笑)。
前作(のような存在の)『トラ!トラ!トラ!』同様、日米それぞれの視点からミッドウェイ海戦の経緯を描いていると謳っていますが、間違ってはいないものの、作風はまるで異なります。
前作はアメリカがボロ負けしたという史実がありながら、それでも日本側への配慮(どころか畏敬の念)を感じさせる描写が多く、判官贔屓というか、いわば戦勝国としての余裕すら感じさせましたが、今作にはそんな傾向は感じられません。
日本側の監督もいないし、純日本人のキャストは三船敏郎さんただ一人(その他の日本人役は日系外国人)、何より日本人のセリフが英語ってんだから失笑モノですよ。
内容が内容だけに、『トラ!~』は当時のアメリカ国民からはブーイングの嵐だったようですし、同じ轍は踏めないという反省から、こういう作風になっちゃったのかもしれませんね。
本作も戦争映画にジャンルされる作品ですから、ふんだんに戦闘シーンがあります。
おそらく軍の協力を得た上で実存する乗り物や兵器を使っているんでしょうが、本作で映るそれら全てが本作のために撮られたものではないんですよね。
本物を強調する意味で戦争当時の記録映像を流用するのは良かったにしても(本作のために撮った映像の画質をわざわざ落として映像の差を軽減したんだとか)、『トラ!~』の映像をそのまま使ってるのにはポカーン…。
本作のために相当な労力を以て作られたシーンも多々あるはずなのに、このせいで、それらも実はどっかから拾ってきた映像なんじゃないの?と穿った見方をしてしまう人も少なくないと思います。
そこまでケチるなら、2時間未満に収めれば良かったのにねぇ。
この頃の、規模の大きい戦争映画は有名どころの俳優を起用する割には、人間ドラマが希薄という特徴があります。
それ故、特にこの時代に大ヒットした戦争映画って、女性客ってどれほどいたんだろう?と思うんですよね。いたとしても、どこが面白かったのか聞いてみたいものです。
本作に関しては、ガース大佐の息子であるトムが日本人の女性と結婚したいと言い出すという、ちょっとした人間ドラマがありますが、おそらくドンパチになんか興味ゼロの女性を引き寄せるための作戦なんでしょう(笑)。
だからって、コテコテな悲恋ドラマとして描かなかったのは正解。曖昧なままで終わったのは良かったと思います。
キャストは変更されているものの、前作から引き続き登場するキャラも何人かいます。
この人がいないと始まらないであろう日本軍の山本海軍大将、そして真珠湾攻撃の功労者である源田や淵田も名前は出てくるものの、病に伏しているというガッカリ設定(源田は復帰しますが)。
これに対し、アメリカ側は馴染みのあるキャラが誰もいないのは残念です。P-40で日本軍の戦闘機隊を迎撃した二人(名前は忘れた)とか出てきても良かったのになぁ。
――とまぁ、『トラ!トラ!トラ!』のノリを想像して観てみましたが、あそこまでの面白さはなかったように思えます。
日本orアメリカの描き方がどうとか政治的な話ではなく、映画としてどうなの?というシーンが多々あった感じ。
何番の偵察機とか戦闘機のパイロット紹介といったテロップも蛇足気味。
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ありゃ、配信版は吹替版しか見当たらなかったよ。
Blu-ray版は吹き替え音声が2種類収録されているだけでなく、メイキング系の映像特典もあります。
ところで、ふた昔前に本作のDVDを買いましたが、字幕がド最悪だった記憶があります。誤訳ではなく、洋画の字幕システムが、んま~酷かった。
当時、メーカーに問い合わせをしたら、どうしてこうなるのかをわざわざ電話をくれて説明してくれたのは嬉しかったなぁ。
このBlu-ray版ではそんなクソ字幕は大改善されているので、似たような思いをした人は、どうか安心してお買い上げ下さい(笑)。
誤訳に関しては興味ないので、その辺の軍事マニアに聞いて下さい。