『明日に向かって撃て!』を観ました。
西部にその名が広く知れ渡っているブッチとサンダンスが率いる壁の穴強盗団は、今日も列車や銀行を襲っていた。
そんな中、かつて強盗団に金を奪われた鉄道会社の社長に雇われたプロが集まる追跡隊により、ブッチとサンダンスは必死の逃走を続ける。
どうにか追っ手を振り切った二人は強盗稼業から足を洗う事を決意。二人と馴染みが深いエッタを連れ、全うな仕事に就くためボリビアに向かうが……といったお話。
ブッチとサンダンスというガンマン同士の、今で言うバディ・ムービーの始祖ですかね。
この二人は強盗を共にする、あまり褒められたものではない稼業で結ばれた仲。世の中の“じゃない方”を主役に据えるあたりは、さすがアメリカン・ニューシネマといったところでしょう。
…“あめりかん・にゅーしねま”って何か? 60~70年頃に作られた、自分の子供にはこうなって欲しくないようなキャラが主人公のアメリカ映画だと思いねぇ!
ブッチとサンダンスは法を乱す悪党ではありますが、悪人とは思いにくい、人好きのするキャラなんですよね。特にブッチは笑顔の絶えない人なので、心中ではクズ扱いしてるでしょうけど(笑)、顔を合わせる人々も彼のペースに乗せられてしまう。
かつ、少なからずの弱点もあるところに親近感を覚えます。
「泳げないんだ!」とか「人を撃った事がねぇんだ」とか、イキッてばかりの無敵な人を気取っていたそれまでの姿を覆すようで、さらに愛おしさを感じさせるんですよ。
「お前は愛想がいいし、キッドは早撃ちだ。でも、お上に追われてる悪党なんだよ。もう、お前らの時代は終わったのさ。どうもがいてみても血まみれになって死ぬんだ」
二人に多少の理解がある顔馴染みのブレッドソー保安官に救いを求めるものの、酌量の余地がなくなりつつある彼らの味方は徐々に減って行きます。
人道を外した行いを続ければ、いつかはその報いがやって来る。まぁ、調子こいてる時間が長すぎたって事です。
償っても償いきれないほどの罪を犯してしまった以上は、↑のブレッドソーが語る定めから逃げられないのです。
これは時事ネタになりますが……飲食店で迷惑行為を働いてハシャいでいる小僧どもよ、そういう事だぞ?
時事ネタと言えば、つい先日、本作の音楽を担当したバート・バカラックさんが亡くなりました。
バカラックさんの代表作と言えば、本作の挿入歌『雨にぬれても』。
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本作を知らなくても、曲は知ってるという人は多いと思います。
これが使われているシーンでは雨なんか一滴も降っていないのに(笑)、何か沁みるんですよねぇ(ブッチは雨なんか気にしない男という意味も込めているとか)。
個人的には本作のベストシーンどころか、歌が流れるシーンとしては映画史レベルで個人的ベスト3に入れていいくらい。
…あ、このシーンだけを切り抜いた動画を見ても何も感じないから、本編を丸々見ないのであれば最初から見なくていいですよ?
音楽と言えば、
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こちらも印象的ですね。
両曲を収録しているサントラも買っちゃったよ。
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まぁ、ただでさえ音楽が少ない作品ですが、だからこそか印象に残る曲が多いんですよねぇ。
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Blu-ray版の映像特典は当時を振り返るインタビュー集や、本作のモデルになったブッチ・キャシディとサンダンス・キッドに関する証言集です。
特にインタビュー集では、ポール・ニューマンさん、ロバート・レッドフォードさん、キャサリン・ロスさんが登場しているのは嬉しいですね(一堂に会しているわけではないけど)。