『荒野の七人』を観ました。
カルヴェラ率いる盗賊団が小さな農村にやって来た。カルヴェラは村を襲わない代わりに、食料を根こそぎ奪って去って行く。
カルヴェラの暴挙に業を煮やしながらも非力な村人は、用心棒を雇うため街に向かう。
そんな村人の話を聞き、仕事を引き受けるクリス。そして彼の元に集まったのは6人の、僅かな報酬でも貧しい村を守るために戦おうとする凄腕の男たち。
7人の男たちは村人たちに銃の使い方を教え、再来したカルヴェラ一味を追い払えるまでに力を付けた。
その後、カルヴェラの一味はろくな食事もできず逼迫した状況に追い詰められている事を知り、逆襲を恐れる村人たちはクリスらを解雇しようとする……といったお話。
ご存知、西部劇の名作です。
タイトル通り、7人の男たちの奮闘を描いた作品ですが、ルックスやアクションだけではない、生き様がカッコ良いんですよ。
金のためにと見せかけておいて、実はもっと人間的な、自分の余りある力を困っている人のために使おうという人情家の集団でもあるんですよね。冒頭のクリスとヴィンのくだりからそんな感じだし。
古今東西、世の中には硬派な作品は多々ありますが、本作もその中の一本です。こういうのに熱くなれる男は健全だと思います。
7人それぞれに個性やバックボーンを与えすぎないのもいいですね。
ある程度のキャラ付けさえできれば、それ以外の事なんてお客の想像に任せときゃいいんですよ、映画なんだし。
これ、下手な人がやると必要以上に、マメに7人分を描いた挙げ句に尺が3時間近くになったりしそうですからね。
これまでの多くの西部劇は善の側にある者(=ヒーロー)ですら、カルヴェラのごとく銃に物を言わせて好きなように生きる無頼漢がほとんどでした。
これと逆に、7人の男たちが謙虚である点がいいんです。
貧しくても手に職があり、家庭さえ持っている村人に畏敬の念を抱き、これに対して自分等は銃の扱いが上手いだけで世の中を渡り歩いている底辺の存在である事、そして孤独である事を自覚している。
用心棒として、頼られて雇われたのだから“武士は食わねど高楊枝”的な態度を取る事もできるのに、あくまで村人と対等に接しようとするフランクさも彼らの魅力です。
一度は解雇されながらも、クリスたちは戻ってきてカルヴェラたちと戦います。
何のために戻ったのかというカルヴェラの問いにクリスが答える事はなく、全編を通してその理由が語られる事はありません。
それを明確に言わないのが本作の秀逸な点です。まともな人なら言わなくても分かるしね。
こういうのをペラペラと喋らせないあたりも映画的で好きです。
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Blu-ray版の映像特典では、主演であるユル・ブリンナーさんとスティーブ・マックィーンさんのバチバチな関係が目に見えて明らかだったことが証言されています。
マックィーンさんは本作に出たいがため、並行していたテレビドラマの仕事を蹴ろうと、わざと自動車事故を起こして怪我をしたそうです(!)。
なるほど、映っているのが画面の奥であっても、何かしらのひと仕草をしているマックィーンさんの貪欲さに感心しますね。ブリンナーさんは、こういうのが目障りだったようですが(笑)。