『キャット・ピープル』を観ました。1982年版の方ね。
▲デビッド・ボウイさんのハミングが退廃的な雰囲気を盛り上げるオープニングクレジットがいい
生き別れになった兄ポールの元にやって来たアイリーナ。翌日、アイリーナに街の案内をする約束をしたものの、ポールは行方をくらましてしまう。
その頃、ホテルで娼婦が怪我を負う事件が発生、怪我を負わせたのは黒い豹だという。動物園の園長であるオリバーらは豹の捕獲に成功、動物園で引き取る事になった。
動物園にやって来たアイリーナは、この豹に見入っていた事をきっかけにオリバーと知り合い、二人は徐々に親密になって行く。
そんな中、突然アイリーナの前に姿を現したポールは告げる。自分らは普通の人間ではない事を、そしてアイリーナが愛するようになったオリバーを殺さねばならない掟を……といったお話。
狼男よろしく、人間が豹に変身するという、一種のモンスター&ホラー要素に恋愛要素が加わった作品です。
ホラー要素が薄まっちゃうんだから、安っしぃ恋愛要素なんか要らねんだ!と思う人もいるでしょうが、モンスター要素が邪魔をする恋愛映画と呼ぶ方が的確かもしれません。
人間がモンスターに変身する(もしくはその逆)ためには何かしらの条件があるもので、本作の場合は人間を愛した時に豹に変身します。まぁ、ポールのように行きずりの関係もあれば、アイリーナとオリバーのような純愛の末のそれもあるので、正確には欲情して(満たされて)しまうと、ですかね?
どちらにせよ、情欲によりスイッチが入ってしまうのは本能に従順すぎやしないか?とも思いますが、アイリーナやポール(の一族)は“豹になれる人間”ではなく、“人間になれる豹”なので、根っこは獣という事で本能的すぎても仕方ないんでしょう。
本来ならオリバーと愛し合いたいけど、その辺を考えるとどうしてもできないアイリーナの苦悩を主軸に置いたお話です。
なら、アイリーナとポールはどう生きて行けばいいのか?と聞かれれば、同族として、兄妹として愛し合うしかない。
そしてオリバーは、たとえ正体を知ってしまっても尚、アイリーナを愛そうとする。
この辺、ダイレクトな言葉を使えば近親相姦やら(ある意味においての)獣姦やらといった、歪んだ愛を描いているのも本作の特徴で、愛する事が相手の生き死にに関わってしまう、哀しい一族のお話なのです。
普通ではない愛情表現を以てオチとするラストも苦しく、そして切ない…。
その昔、日本では『闇のパープルアイ』という漫画(&実写ドラマ)がありましたが、おそらく、いや確実に本作が原案となっているでしょう。
俺ッチはほとんど観た事がないんですが、殊に実写版は当時としては未発達のビジュアル面に対するツッコミが多く見受けられ、肝心のストーリーに関して正当な評価ができる人は少なかったように思います(“CGがショボい”なんて意見は低次元すぎて、評価どころか感想にすらなっていない)。
雛形あきこさんが果敢に頑張っていた印象があるので、ちゃんと観たいんだけどなぁ。BS朝日さん、なにとぞ放送して下さいな…。
小ネタとして、あんま目立っていないながら、ジェリー・ブラッカイマーさんが製作総指揮を担当しているんですね。
後年のド派手な作風にはまだまだ及びませんが、その片鱗は見え隠れしますね。特にビジュアル面に注目です。
▲本作を象徴するカットの一つ。もはや1枚の絵画やん…
ちょいちょい出てくる赤い砂漠のシーンは本作の見どころの一つ。
他のシーンは忘れても、ここのインパクトは強烈すぎて、簡単には頭から離れないんじゃないかな?
ところで……ポールのその後はどうなったんだろう?
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俺ッチが買ったのは↑の廉価版である↑↑です。
メーカーは違うけど特典の内容が同一のようなので、買うなら↑↑ですね。
キャスト&スタッフが当時を振り返るインタビュー等の映像特典に加え、吹き替え音声が3種類(!)も入っている、ムダに豪華な仕様です。