観終えた、『牡丹と薔薇』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『牡丹と薔薇』を観終えました。

 

俺ッチは録り溜めしてイッキ見するタイプなんですが、1話分でも見ようものなら、最低でも5話くらいは止められないよね(笑)。

それほどまでに、次回を気にさせる引っ張り方が実に巧い。連ドラの見本のような作風です。

近年のユルユルドラマとは比べ物にならないくらいに鑑賞カロリー(?)を消費するので、観るごとに疲れるんですよ、割とマジで。

 

――で、全話を観終えましたんですがね。

世間が抱いているイメージは罵詈雑言や奇行のシーンなんでしょうが、まぁそれも無きにしも非ずながら、所詮は切り取りに過ぎません。

つまり、そんな面白シーンを目当てに見ると、その登場頻度がおそろしく低い事に落胆してしまうんでしょう。そういう人はバラエティ番組やまとめ動画でも眺めてヘラヘラ笑っていればいいんです。60話も見るような根気もないでしょうし。

 

お話の根っこは、ぼたんと香世の愛憎劇で、常にお話のキーパーソンとなるのが香世です。“キーパーソン”なんてスカした言い方ではなく、“引っ掻き回し役”と言った方が正確かな(笑)。

成人後は悪辣の化身にしか思えない香世ですが、この人の情緒を安定させる事こそがこの物語の平安に繋がるんですよね(笑)。

かと思えば、憎悪の裏にある愛情を見せたりして、根っからの邪悪ではないと思わせる、実に複雑な役です。香世を演じる小沢真珠さんも大変だったろうなぁ。

 

ぼたんはこれと正反対で、そんな香世の仕打ちに対して(可能な限り)愛情を以てこれを諫めるような、慈愛の権化のようなキャラです。

「あんだけ酷い(時には惨い)事をされたんだから、香世なんかとっちめちゃえよ!」と思うような人は、何でも許しちゃうぼたんの盲目的な優しさにはイライラしっぱなしだったでしょう(笑)。

ただ、ぼたんも打たれてばかりではなく、歳を重ねるごとにしたたかになっていくのも見どころです。無垢で優等生だったぼたんが不倫なんて、序盤では考えられなかったもんね…。


最終的に残った疑問は2つほどあって、

 ・浅間の正妻と、その後(強烈なキャラだったのに…)

 ・和人が香世をどう思っているか

これらの決着がなかったのは残念だったかな? 想像しにくいくらいに見せ場が少ない…。

 

…と、随所に関して言いたい事はありますが、つぶさに綴っていると終わらなくなるので…。

総括としては、実に面白い作品でした。胸に響いたり苦しくなったりするような、心に響くところが多々あったという意味でね。

近年、アニメでは異世界に転生するというシチュエーションが流行っているようですが(そろそろ廃れてるかな?)、だったら本作の世界にでも転生されてみろと。毎日胃が痛くなるような日々を送れるぞ…。

 

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なんだよ、↑↑↑↑の配信版やってねーのかよ。配信版って、実は常に配信しているわけではないのが信用できないんだよな。

BS(BS11だったかな?)やローカル局でちょいちょい放送しているとは言え、これだけ連ドラとしての面白さに富んでいる作品ですから、できれば1話から見て欲しいですね。

 

俺ッチは今年の5月~9月にかけての再放送を観ていたんですが、まずはこれに関してフジテレビに感謝の意を伝えます。

令和4年という時代に、本作を無修正で全話を再放送してくれてありがとう、と。

何しろ本作は2004年の作品という事で、令和という時代に相応しくない相応しくない描写は多々あると思うんですよ。

だから最初の数話しか放送しなかったり、放送上の倫理規定に引っ掛かる描写があるような回はスッ飛ばしたり、ボカシや無音のシーンがある事は覚悟&想定していました。

けど、それらが一切ないどころか、画角4:3の左右を埋めるかのような宣伝もなく、それどころか予告まで放送してくれたのは、令和という時代においては挑戦的というか、もはや偉業です。4話づつ放送というのも配慮を感じます。

この次は『牡丹と薔薇スペシャル』、からの『新・牡丹と薔薇』が来るか?と思いきや、そこまではなかったのは至極残念…。