Blu-ray版は『恐竜100万年』を観ました。
今回から画像多めで紹介できるようになったぜ。
▲ちなみに『紀元前1万年』の原題は『10,000 BC』
地球が生まれて間もない頃。
アクホバを首長とする部族内では争いが絶えず、兄弟でありながら互いをライバル視するトゥマクとサカナの関係は次第にエスカレート。食料を巡る争いから決闘にまで発展してしまい、敗れたトゥマクは部族からも追放されてしまう。
当てのない放浪を続け、砂漠で倒れたトゥマクは海沿いの村に住む部族に助けられる。甲斐甲斐しく看病するロマナに対し、トゥマクの中で何か新しい感情が芽生え始める。
しかし、ここでもトラブルを起こしてしまったトゥマクは、ロマナと共に村を去る。
その頃、サカナはアクホバを見殺しにし、首長の座を奪っていた……といったお話。
…とまぁ、粗筋を綴ってはみましたが、そこまで正確ではありません。
何しろ、言葉を喋れない原始人のお話なので。字幕も序盤の数行しかないし(笑)。
パントマイムやジェスチャーばかりで、サイレント映画にジャンルしてもいい作品です。
本作もそうですが、ある程度のストーリーは共通していながら、感じ方や解釈の仕方は観る人それぞれで異なるのはサイレント映画の良いところです。
基本的には男の子映画である本作。
個人的に……いや、多くの男性からすれば、本作の見どころは二つ。
その一つは、レイ・ハリーハウゼンさんの手による恐竜。人形を僅かに動かしながら1コマづつ撮っていく技法=ダイナメーションは本作においても健在。
「いかにも昔って感じの古臭い特撮www」とか言っちゃう人も多そうですが、こういう技法は今や“わびさび”と呼んでも良さそうな、一種の風情があります。そりゃCGには敵わなくとも、特に長い尻尾の滑らかな動きは必見ですよ。
あの動きのせいか愛嬌も感じさせ、怖いというより、ちょっと可愛らしさもあるのが魅力です。
CGで、あの雰囲気を再現させたハリーハウゼンさんリスペクト映画とか作ってくんないかな?
ただ、それら全てが人形を使ってのダイナメーションではなく、現存生物を合成しただけのシーンはご愛敬。
▲これは単にデカいトカゲですが…(何故かデカい蜘蛛までいるし)
この頃は恐竜=爬虫類の先祖という一説しかなかっただろうけど、まんまトカゲという…(笑)。
▲人間との対比が秀逸!
そして、こういう画こそがハリーハウゼンさんの真骨頂で、合成でありながら人間と人形が違和感なく絡み合う芝居が実に自然なんですよね。投げた槍が怪物に刺さるとか、どうやって撮ってるんだろう?
▲この頃は“ブロントサウルス”と呼ばれていたんでしょう(今はアパトサウルスなんだとか)
もちろんタイトル通り、トリケラトプスやティラノサウルス(だと思う)っやプテラノドンと言った、ちゃんとした(笑)恐竜も登場しますよ。
もう一つの見どころは、ラクエル・ウェルチさんですよ。
▲男臭しかしない、ちょっとした地獄
トゥマクが身を置いていたのは、こんなムさいオジサンばかりの部族です。少なからず女性はいるものの、大半はみすぼらしいバアさんという(笑)。
トゥマクが流れ着いた先にいる部族は髪はブロンドで(金髪or黒髪で部族の違いを表している)、女性が多いだけでなく垢抜けた感があります。
そこにいるのがウェルチさん演じるロマナです。
▲ファーストカットから掴みはOK!
…どうだい男の子よ、もはや恐竜なんてどうでもいいだろう(笑)? ブラボー&ハラショー、原始時代!
遠出をする際には、この格好でショートブーツ(的なもの)を履くんですが、これがファッション的にも可愛いです。
日本では漫画の影響から、女忍者=くノ一の衣装はミニスカと曲解されているところがありますが、アメリカでも女性の原始人はビキニ(セパレート)を着ていたんだと思っている人は少なくないかもしれません。
始終、こんな衣装で動き回るんだから、あまりお話が入って来ませんよね(笑)。
ロマナはトゥマクに愛情(に近い感情)を抱きますが、だからって安直なラブシーンに至らないのがいいんですよ。原始人の恋愛はプラトニックなんです(笑)!
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Blu-ray版は映像特典どころか、トップメニューすら一切ナシの最低限仕様。
序盤にナレーションがあるくらいで、あとは人名と謎の言葉しか喋らないのに吹替版が収録されているという、何と無駄な贅沢感よ…。