『機動戦士ガンダムNT』を観ました。
地球に未曽有の被害を与えたスペースコロニーの落下。それを予見し住民を避難させたヨナ、リタ、ミシェルらは“奇跡の子供たち”と呼ばれ、孤児になった彼らは軍により保護される。
十数年後。ラプラスの箱を巡る一連の事件における戦闘の中で超常的な能力を発揮したユニコーンガンダムの兄弟機=フェネクスが現れる。
それに乗っているのはリタであろう推測を以て、今やルオ商会の重鎮となったミシェルは、軍に身を寄せるヨナを含めた特務隊にフェネクスの捕獲作戦を依頼。ヨナはナラティブガンダムに乗り込み、リタへの接触を試みる。
しかし、同じようにフェネクスを狙うネオジオンの残党も出現。フェネクスを巡る争いは次第に熾烈さを増して行き……といったお話。
…と、いつものごとく、俺ッチの感性と言葉で粗筋を綴ってみましたが、当ブログでの粗筋の紹介は一本の映画として観た限りの、かつ一見さんに向けて客観的に伝えるよう心掛けています。なので、↑の粗筋に関して、色々と間違っている(というか言葉が足りていない)と指摘したい人もいるんじゃないかな?
何しろ、これは常々言うんですが、今やガンダムは学問ですからね。諸説が生じるのも仕方がないんです。
俺ッチも副読本等で、本編では語られ(きれ)ない設定を追いかけて勉強したものですが、商業主義の下(笑)あまりにも頻繁に行われる設定の後付けや改竄にウンザリして、今はせいぜいその上澄みを知る程度に留めています。
手っ取り早い例えでは、初代ガンダム=RX-78は8機(!)が製造されていたとされていますが、テレビ&映画しか見ていない人にとってガンダムは1機です。こういう人を相手に「初代ガンダムは1機だけじゃねーよ、そんな事も知らねーで知ったかぶるんじゃねーよ!」とか言っちゃうような、他人の無知を嘲笑うようなガンダムバカにはならないよう気を付けようねっ☆
そんなガンダム学の新たな新説(?)として発表された『機動戦士ガンダムUC』、本作はその続編です。最終回後の番外編といった感じですかね、要は余興です。
が、ただの余興と一笑に付せられないくらいに、1本の映画としては面白いと思いました。
本作を駄作呼ばわりするガンダム学会員も数多くいますが、その手の意見は無視した上で、まずは自分の感性で確かめてみるのがいいと思いますよ。
コロニー落としを予知した3人としてもて囃される3人ですが、実際に予知ができたのはリタだけ。
3人の中のニュータイプ的な能力を持つ本物だけがルオ商会に引き取られる事を知ったミシェルは、リタを救うため、ヨナと口裏を合わせて自分が本物だと名乗り出る。
ルオ商会である程度の地位を得ればリタやヨナを救い出せる……という目算通りに事態はうまく運ばず、3人は散り散りになり、結果的に二人を裏切る事になってしまったミシェルの贖罪のお話です(ヨナとは比較的楽に再会できましたが)。
そんなミシェルがリタを救うため、数多に渡る裏工作を進めてきましたが、何とまぁそのスケールの大きい事よ。連邦軍だけでなくネオジオンとも通じ、その名を出すだけで看過してもらえるんだからルオ商会もデカくなったなぁ。
劇中にもありましたが、かつてニューホンコンで起きた戦闘で被災した際の賠償責任の追及として、まさかティターンズを恫喝していたくらいですから、これもひとえにステファニーさんの胆力によるものなんだろうなぁ(笑)。宇宙に住む時代になっても、被災者カツアゲは状態的に行われているんだな…。
サイコフレームを初め、サイコモニターだのサイコジャックだの、サイコというワードが頻出するせいか、霊的な描写が多い作品です。いない人の声が聞こえたり、力を借りたりとかね。
それ故、初代の『機動戦士ガンダム』や『機動戦士Ζガンダム』らの終盤あたりに見られる戦闘描写に異を唱える人には、本作はあまり受けがよろしくないでしょう。
“オカルト”という言葉を馬鹿の一つ覚えのごとく多用して、冷やかしを乱発している投稿サイトをよく見ますが、本作の場合はオカルトというより、もはやファンタジーだなと感じました。ああまで殺伐としていない、むしろ温かみのある雰囲気だったしね。
…ただね~、そんなサイコフレームをニュータイプの人間が使えば死者と交信ができるんだ!と曲解しているミシェルさんは、ちょ待てよと。
『機動戦士ガンダムUC』の原作、及び本作の脚本を担当した福井晴敏さんによる斬新なニュータイプ論に対し、ガンダム学会員たちのブーイングが鳴り止まないのも仕方ありません(笑)。
ああいうのは劇としての表現方法の一つに過ぎず、実際には聞こえるはずのない心に届く声が、明瞭に言葉として聞こえてくるものだと断言してしまうのは、少なくとも宇宙世紀系のガンダム作品として無粋だと思うんだよね。そこまで科学科学していなくていいんだよ。
特にバンダイが絡む映画は、公開前&公開間もないにも関わらず、作品に登場するキャラクター玩具の宣伝という体裁で、いわゆるネタバレが節度なく堂々と行われています。映画の楽しませ方もロクに知らない会社に出資してもらわざるを得ない映画業界の現実は辛く、惨めです。
本作もその例に漏れず、公開前からメインどころの登場ロボットのオモチャ発売の発表があったものの、“セカンドネオ・ジオング発売決定!”なんて告知に絶句した人も多く見ました。「公開前にラスボスを見せちゃうのかよ…」みたいなね。
ただ、そこから失望気味に本作をに観てみると、確かにネタバレではあったけど、それ以上のドンデン返しが多く驚かされるシーンが続出でした。そうじゃない所に入ったり(笑)、何か抱えているナラティブとか、真の主人公機とか。
登場ロボの機種が(比較的)少ないのも好印象で、ロボット描写にも色々な発見や意外性があって楽しめましたよ。
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本当は、本作に登場するプラモでもオススメしようと思ったけど、もちろんのごとく転売価格なので止めました。困ったものよね…。
↑のBlu-rayは通常版と限定版がありますが、ま~高いので、話のタネとして見る程度であれば↑↑の配信版でいいかもしれません。
俺ッチは2回以上は観たいと思える作品だったので買いましたが、買ったのは
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こっちの方です。再生環境がかなり絞られるので、こっちはあまりオススメしませんがね。
ただ、国内版の通常版より映像特典が遥かに多く、しかもアメリカ公開時の様子も収録されています。日本語字幕はないけど、スゲー楽しそうな様子が伝わります。