観た、『恐怖の報酬('77)』~その2~ | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

また『恐怖の報酬('77)』を観ました。個人的に、元旦に観る価値のある作品なんだぜ。

 

以前に観た際の感想はコチラ

 

何だろう、1度目の鑑賞ではオリジナル版の方が面白く感じたけど、2度目の鑑賞以降はそんな印象が逆転、それどころか観るごとに面白く感じるんですよ。

最初に観た時は、パッと見で登場キャラの見分けが付かなかったので(←無名に近い俳優が多く出ている作品あるある)、”唐突に映るこの人は誰なの?”的な混乱が生じますが、そういう作品ほど、2度目以降の鑑賞が面白く感じる事もままありますよね。本作はそういう系の作品に思えます。

今では生涯レベルで好きな映画として挙げてもいい位置にランクインしている作品です。

 

男臭さMAXの、実に硬派な作風が良いんですよ。

男たちが任務を遂行するお話なのに、女性とのムーディーなシーンが入って水を差されるのってスゲー嫌いなんですよ。そのおかげで100点をあげられない、例えば『ナバロンの要塞』とかね。

が、本作にはそんな心配は無用。女性キャラは登場するけど存在感はゼロに等しく、ひたむきに打ち込む男たちの邪魔をする事は全くありません。

余談ながら、『戦略大作戦』も硬派な作品でしたね。

 

リメイクの本作やオリジナル版共々、本作の鑑賞や紹介のための必須ワードとしてニトログリセリンが挙げられます。

油井で爆発事故が起こり、火の勢いは鎮まる事を知らず、これをニトロの爆風で消火しようという作戦。具体的にどうやるのか分かんないけど(笑)。

まぁ、ニトロでも間違いではないんですが……それってダイナマイトじゃないの?と。

ニトロを使おうという事で保管場所に行ったところ、そこにあったのは筒状の束。作劇でよく見られる一般的なダイナマイトの形ですよね。

ニトログリセリンは液体のままだと僅かな衝撃で爆発する危険があるけど、珪藻土[ケイソウド]等に染み込ませる事で多少の安全性を帯びる、これがダイナマイトの仕組みです。

しかし、本作に登場するダイナマイトはロクな管理もされずに放置されていたため、珪藻土(だと思う)とニトロが分離してしまった。

つまり、そんな不良品ではなく、まともなダイナマイトが現存していれば、あんな恐怖体験をせずに済んだという事です。取り寄せなんて悠長な事も言ってらんないし、早急な対処を要するという事で、ああいう危険な任務を課す羽目になってしまったんでしょう。

――と、この辺は付け焼刃のウンチクなので、色々間違ってる可能性もあるので悪しからず。

 

主役はニトロを運搬する4人の訳ありな男たちですが、それぞれが母国にいられなくなってしまった犯罪者です。

映画等で、罪を犯した仲間に向けて(母国ではない国に)高飛びしろというセリフはよく聞きますよね。

けど、その行き着いた場所が楽園どころか地獄だったら?というのが本作の面白い点の一つです。

どんだけ汗や泥にまみれても、稼ぎは雀の涙。違法な入国のため警察にも搾取されたり(逮捕されないだけマシというか) 、なら国外に脱出しようと思い立ってもパスポートや旅券は法外な値段ってんだから、まぁアリ地獄のような場所です。

母国では伊達男を気取っていた男たちが、ここでは顔は汚れて髭も伸び放題という、実にみすぼらしい身なりで過ごすような落ちぶれっぷり。そこから這い上がろうとする男たちが足掻く姿を見守る(?)作品なのです。

そこで決死の思いをしたから犯した罪がチャラになるというわけでもないというドライさが良いんです。

 

音楽もいいんですよね。

最初に観た際は、当時の最先端楽器であったであろうシンセサイザーを使って、ちょっと画面に合わない感もあったんですが、いつしかマッチしているように感じてきました。むしろサントラも欲しいくらい。

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どんな感じの音楽なのかは、↓の予告編で見聞きしてみて下さいな。

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