『恐怖の報酬』を観ました。1977年版の方です。
母国で罪を犯した男たちが高飛びしてきた、南米のとある町。
この町はあまりに貧しく、あくせく働いても稼ぎは僅かにしかならず、法外な額のパスポートを買うのは夢また夢だった。
ある日、町から離れた油井で爆発事故が発生。火の勢いは止まらず、ニトログリセリンによる爆破での鎮火を試みる事になる。
製油会社は町の男たちに、高額の報酬と引き換えにニトログリセリンの運送を依頼する。僅かな衝撃でも爆発する危険を伴う仕事だ。
かくして選ばれた、金を作って早々にこの町を抜け出したい4人の男たちの、恐怖と困難が待ち受ける旅が始まる……といったお話。
1953年に公開された『恐怖の報酬』の、アメリカによるリメイク作品です。
アメリカによるリメイクと聞くと、オリジナル版よりエンターテインメント性が高い→通俗性に富んでいる→老若男女が楽しめる→媚びた作風になりそうな予感がしますが、そんな懸念は無用で、実に硬派な男臭い作品に仕上がっています。
かつ、割と強めに説明を省いているあたり、いかにも映画という感じは好きです。
オリジナル版は2時間33分に対し、本作は2時間1分。
ここだけを比較すると、それだけオリジナル版は無駄が多いんじゃない?と思いがちですが、リメイクに伴いアレンジが施されている事を鑑みれば、後出しの方が洗練されているのは当然ですしね。
本作は、いかにも映画的な省略の具合がいいんです。
本作は映画会社の手によって30分くらいカットされて公開されたという逸話がありますが、そっちの短縮版がどうなっているか観てみたいですね。
そもそも本作の場合、主役4人の男たちの人間ドラマがないに等しいんですよね。いや、正確には映画的なドラマティックな展開というか。
オリジナル版は、前振りも含めてマリオとジョーのパワーバランスの逆転劇等があったけど、本作にはそういうドラマはなく、一貫して仕事一筋のまま終わってしまう(に等しい)。
男たちの友情がどうこうなんてのは他の作品に任せとけばいいとは言え、もう少し共通意識があっても良かったんじゃないかな?
そして“主役”と呼ぶにはチト違うけど、二組が乗るトラックも、ある意味においては“主役”です。
一歩間違えるとスタイリッシュな、カッコ良いと感じさせるトラックを登場させがちですが、お世辞にもそんな言葉を選べなさそうな、むしろカッコ悪いトラックってところが良いんです。荷車として機能していればいいという質実剛健な使い方、これこそ本来の車のあるべき姿ですよね、ドアはあった方が良いけど(笑)。
その辺に放置され、ボロボロの錆び錆で使い物にならなさそうなトラックを、自分らでオーバーホールしてどうにか走らせられるようにする姿は、どこか『装甲騎兵ボトムズ』を連想します。
危険な道中を多々描いていますが、ミニチュアを使ってなさそうなのもいいですね。
特に吊り橋のシーンとか、いつ横転するんじゃないかとヒヤヒヤします。90年代くらいにでもなれば、CGを使わないにしても、絶対に横転しない仕掛けを作れそうなものですが、本作の時代では大した小細工も仕込めないだろうし、やはり全て本物なんでしょうね。ますますヒヤヒヤ&ハラハラします。
↓Blu-ray版のジャケットにもなっている、吊り橋を渡るシーンとかよく撮れたよなぁ。
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本作の配信版は存在しないようですね(オリジナル版はありますが)。
俺ッチが買った↑↑Blu-ray版の映像特典は予告編のみ、吹替版すらないという、ド最低限仕様です。
お値段お高めの↑には、吹き替え音声や映像特典が満載のようなので、興味のある方はこちらを。