『劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア』を観てきました。
両親の元太と幸実を乗せた飛行機を見送る、五十嵐家の3兄妹。
その直後、二人を乗せた機でハイジャックが発生。
首謀者は外海[ソトウミ]という男で、悪魔ギフの遺伝子を受け継ぐ五十嵐3兄妹をおびき寄せるのが狙いのようだ。
外海が潜むエリアに向かう五十嵐3兄妹は、それぞれ仮面ライダーに変身し両親を探す。
そんな彼らの前に現れたアヅマという男。ギフを最初に発見し、不老不死の契約を交わしていたアヅマは仮面ライダーダイモンに変身し、3兄妹を追い詰める。
そして飛行機には、アヅマへの復讐に燃える希望[ノゾム]という男も乗り合わせていて……といったお話。
個人的に仮面ライダーの夏映画(の多く)は、テレビシリーズの設定を拝借していながらも、世界観が異なる作品だと解釈しています。“商業主義”と同義語である”マルチバース”ってんですかね。
つまり、探し出せばバンバン出てくるテレビシリーズとの矛盾を指摘するのは無粋であるという事です。
“〇〇が登場していないから、テレビ版の××話より前の話である”なんて考察も無駄の極みという事です。
さらに言えば、テレビシリーズ=本編の隙間を埋めるスピンオフ作品も、所詮は後付けの番外編も同様で……と捨て置いていましたが、これらを観ておくと本編が理解しやすくなったり深みが出るという商法を、近頃では採用し始めているようです。
ハッキリ言わずとも、歯抜け連続ドラマを見せられているようで興醒めしますね。
テレビシリーズを本編とし、夏映画は番外編、冬映画はテレビ版の総括(や補填)、Vシネマは2号ライダーのスピンオフという形で棲み分けられれば理想的です。
配信限定ムービーは、ひと昔前にやってた、マニアにしか受けなさそうなコアなネタや楽屋落ちコント程度のもので十分だと思います。客層もそっち系の人が多そうだし。
本作の監督は坂本浩一さん。
坂本監督は変身ヒーロー作品によく携わっていて、もちろん変身後のキャラも見せますが、それと比べると軽視されがちな変身前のキャラ&演じる俳優を積極的に、かつ魅力的に見せようとする監督だと思っています。
坂本監督作品を観終えると、出演者に対する評価が上がる事って多くないですか? “この人、ここまでできるんだ?”みたいな。
オモチャに目がない人であればじれったく感じるでしょうが(笑)、なかなか変身させず、まずは生身の姿でアクションをさせる作風こそが、その表れです。
二手三手くらいの殺陣をこなしたらすぐに変身しちゃう平成ライダーに体たらくを感じるような、昭和ライダーを大リスペクトしている年寄りも、ここは素直に兜を脱ぐところですよ?
イケメンライダーだって体を張って頑張ってるんだなと、これまでの認識をアップデートして欲しいですね。
坂本監督はアクション系の洋画にも精通しているせいか、画ヅラ的にも、やってる事はハリウッド製のアクション映画も顔負けなんですよね。予算と時間を与えれば、それに匹敵できる技術は確実にあると思うんですよ。
それらをふんだんに使っているであろう『シン・仮面ライダー』が近々公開されますが、“平成ライダー版シン・仮面ライダー”なんてのを作れるのであれば、是非とも坂本浩一監督にお願いしたいですね。もちろん、バンダイが一切口を挟まないのが最低条件(→すなわち製作不可)。
一輝、大二、さくらが捕らわれた挙げ句、それぞれの悪魔に痛め付けられるシーンは、ありそうでなかった展開。
その中で、特にバイスが一輝をボコボコにするシーンは胸が苦しくなりました。これまでに仲違いはあったけど、殺意に満ちた暴力を以て相手を痛め付ける事なんてなかったものだから…。
個人的には、本作で一番の衝撃シーンでしたね。
ゲストと言えばケイン・コスギさんですね。
昔はキレッキレのアクションで知られていたケインさんは、近頃ではゲームにカブレているようで、もはや身体もナマッてるんじゃない?とタカを括っていましたが……いやいや、ケインさんのアクションはまだまだ健在です。未だ“変身しない方が強い系”の人で行けるぞ。
だからこそ、クライマックスは変身しない方が良かったのになぁ(対等レベルで相手ができる一輝=前田拳太郎くんもなかなか)。
ところで……昔、どっかのお笑い芸人が、“日本語はたどたどしいけど英語の発音が良すぎるケイン・コスギ”という物真似をしていましたが、あれが多々チラついて困ってたのは俺ッチだけですかね? 「その兄妹……そんなにディンジョロス(dangerous)なのか?」とか、ちょっとお話に集中させて下さい…(笑)。