観た、『人造人間ハカイダー』 | Joon's blog

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『人造人間ハカイダー』を観ました。

 

監獄より解放されたハカイダーは、ジーザスタウンを目指し疾走する。

荒廃した世界の中、争いのない街として知られるジーザスタウンだが、その実態は僅かながらも反抗心を抱く住民を厳しく弾圧、洗脳さえも厭わない元老院のグルジェフによる、かりそめの平和がもたらしているに過ぎない街だった。

ジーザスタウンに侵入したハカイダーは反政府ゲリラと遭遇。ゲリラのメンバーの一人であるカオルは、元老院の打倒という同じ目的を持つハカイダーを仲間に迎え入れようとする。

しかし、ここにも元老院の魔の手は迫り、ゲリラも壊滅に追いやられる。

カオルと別れたハカイダーは元老院を目指し……といったお話。

 

『人造人間キカイダー』に登場する、キカイダーの好敵手ハカイダーを主役に据えた、東映ヒーロー作品のスピンオフの走りとも言える作品です。

が、ハッキリ言ってしまえば、製作者の独善的な拡大解釈により作られたもので、もはや『~キカイダー』に登場していた時のハカイダーのイメージは皆無です。

ハカイダーをよく知る人はガッカリし、そこまで詳しくない(若い)人は東映らしからぬダークヒーローにシビレた事でしょう。

若かりし俺ッチは、その狭間でモヤモヤしていましたが(笑)。


従来の東映の変身ヒーローにある健全さを捨てているのが新鮮です。

その最たる表れがアクションで、基本的に常に地に足を付けているのが重々しいというか、(あくまで本作においての)ハカイダーのキャラ付けにもなっているんですよね。俊敏に動いたり、過剰に飛び跳ねたりしないんですよ。

ハカイダーショット=銃を撃つためだけのものとして使わず、グリップで殴打するのも、この手のヒーロー作品にはなかったんじゃないかな?

単なる追いかけっこではなく、走行中に戦うバイクアクションもカッコ良い。

自分の左に並走する敵のバイクのフット(リア)ブレーキを踏み付けて転倒させるシーンとか、映画全般でも未だになかなか見ない演出です。

 

いわゆる東映ヒーロー作品が持つ外連味やカタルシスに慣れ親しんでいる人からすれば、それらとは一線を画している、“いつものような作品”でない点に新鮮味を感じると思います。

最も分かりやすいのが戦闘シーンで、前口上や「フンッ」とか「ハッ」といった掛け声もなく、無言で戦うのがいいんですよ。総じて台詞が少ないので、緊張感も高まります。

 

台詞が少ないと言えば、本作のハカイダーは人間態に変身できるんですが(ミカエルにこの機能がないのは、ハカイダーのように変な感情を抱かせないための抑止策?)、この時は一切喋らないのがいい。真の姿であるハカイダー態(?)になるとペラペラとよく喋るのが興醒めですが(笑)。

よく喋るだけでなく、これはミカエルもそうなんですが、喋りに抑揚がありすぎるのが無粋に見えてしまいます。ここで松本大さんと井上和彦さんという芸達者な声優を使うのがミスキャストに思えてね、どうせ喋るならもっと無機質&無感情な方がいいんですよ。

 

監督は雨宮慶太さん、脚本は井上敏樹氏という、言わずと知れた『鳥人戦隊ジェットマン』コンビです。

『~ジェットマン』と言えば、スーパー戦隊どころか、あの手の変身ヒーロー作品に革命をもたらした作品で、その斬新さにやられていた俺ッチはこのコンビを盲信していたものです(正確にはプロデューサーでもある白倉伸一郎も加えたトリオなんだろうけど)。

約30年も過ぎ、歳をとって客観視してみれば、井上氏の脚本はあ痛たたたな感じですが(笑)、雨宮監督の演出は今の目で見ても随所に光るものがあります。

中でも、カオルと別れたハカイダーがジーザスタウンに向かう際の、足元の花が燃えるカットとか震える~…!

 

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まぁ、配信版で良ければ↑↑のディレクターズカット版が良いと思います。

 

俺ッチは配信版は見ない人なので↑のBlu-ray版を買いましたが……失敗しました。

劇場公開版とディレクターズカット版が収録されているんですが、Blu-ray→HD画質になったのは前者のみで、後者はSD画質という何だそりゃ仕様に半ベソです。本作はディレクターズカット版こそがデフォルトなのに…。

幾度となく海外版を買って大満足を続けてきましたが、ここに来て大ハズレ商品を引いてしまって超ガックリ。まぁ、国内ではまだ発売されていないし、2000円くらいで買えた物だから、安かろう悪かろうの精神で開き直ろう…。

国内で、東映が発売すればクオリティは高いだろうけど、また図に乗って1万円くらいするんだろうな。