『メガゾーン23』を観ました。
東京都心を遊び場としている省吾は、ふとしたきっかけで由唯と知り合い、親しくなる。
ある日、真二が持ち出した軍のバイクを譲り受けた省吾は、軍人のB.D.に追われる身となる。
どうやらバイク=ガーランドは軍の機密のようで、ならば大っぴらに世間に公表しようと、アイドルであるイヴのテレビ番組でガーランドを見せ付けるが、その模様は放送されなかった。
数日後、白バイに追われる省吾はトンネル内の側道に身を隠す。その先にあったのは広大な、天井にすら建物があるという謎の空間。その中央部には巨大なコンピューター、バハムートが鎮座していた。
再び相まみえたB.D.は省吾に語る。この空間やバハムート、そして省吾たちが住んでいる街に関する真実を……といったお話。
OVA=オリジナル・ビデオ・アニメなんて言葉が発祥した、(初)公開形態がテレビでも劇場でもない、ビデオソフト専用の作品です。今で言えば、ネット配信限定作品に通じるところがあるかな?
当時のOVAの流行と言えば、メカと美少女でした。この“美少女”というワードには少なからずのエロ要素を含んでいるのは、現代(よりは少し昔か)で言う“萌え”と同様ですね。
当時の俺ッチも、見るきっかけとしてはその辺だったんですが、実際に観終えてみると、SFと青春ドラマという奇妙な組み合わせに圧倒された覚えがあります。
日常的な生活を送っているように見えて、実は大きな力によってそう思い込まされているとしたら……という、陰謀を突き止める系のドラマとして、大袈裟ながらハリウッド映画でも通用するようなストーリーだと思います。
それまでのロボットアニメと言えば、命令や義務の全うのためにロボットに乗り込む主人公が多かったですが、本作の省吾は自分のためにしかガーランドを使いません。
あくまで自分至上主義の、どっちかと言うまでもなく、まぁ不良ですよね(笑)。
そんな朝から晩までバイクでフラフラ遊んでいる自由人だった省吾が、それまでの自分を取り囲むものに懐疑的になり、ついには不信(の根源)を叩き潰そうとするといった、省吾=ヒーローの成長譚なのです。
だからこそのああいう終わり方ですが、色々と明確に決着が付いていないと気が済まない人にはお勧めしない作品です。
個人的には新たな一歩(や人生)を感じさせる、いいエンディングだと思います。なんとな~く、『サタデー・ナイト・フィーバー』が頭をよぎります。
この頃のOVAは、テレビアニメよりも表現の自由度が高かったのが魅力でした。
この時代の作品の後日談等を読むと、社外の人間であるにもかかわらず、勝手に入ってきて仕事を始める原画マン(←懐かしい響き!)も多かったようで、作り手側の熱量の高さが伺えますね。
やりたい事をやって描きたいものを描くといった、まず作り手が楽しめる事を優先したような、悪い言い方をすれば自己満足な作品を作れた良い時代、というより楽しかった時代だったんじゃないかな?
本作がテレビでできない事と言えば、省吾と由唯のアレですよね。
今見れば、ま~微笑ましい程度のものですが(笑)、昭和アニメとしてはずいぶん過激だったと思います。
改めて見ると、下半身を一切見せないあたりは節度があって良いですね。
オジサン(もう初老かな?)アニメファンからすれば、エンドクレジットも一つの見どころです。
当時はよく見ていた名前が、今ではベテランの域に達していると思うと、否応なしにも時の流れを感じます。
中でも、昨今ではリメイク(もしくはリ・イマジネーション)の第一人者とされるあの監督も、この頃は原画で参加していたんですね。
“シン・メガゾーン23”とかやらないかな(笑)?
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配信版はないようなので、となれば、↑のBlu-ray版しか紹介できませんね。
俺ッチが買ったのは
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↑なんですが、全3作に加え、『~Ⅱ』の海外版が収録されています(こちらもリマスタリング済み!)。
作品としては『~Ⅱ』なんですが、メインタイトルが出る前=アバンタイトルとして本作のダイジェスト(音声は英語によるナレーションのみ)が流れます。
このダイジェストは本作のもう一つのエンディングとも呼べるもので、ダイジェストどころかお話も変わってるし、新規カットも増し増し、しかも画風は本作に準拠しているという贅沢さ。
日本版のエンディングが好きな人には噴飯モノなんでしょうが、洋画のDVDの映像特典にある“もう一つのエンディング”程度に見れば意外に楽しめると思います。舞のその後も危なかったんだな…。