観た、『少林サッカー』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『少林サッカー』を観ました。

 

“黄金の右”と呼ばれるサッカー選手だったファンは、八百長試合をした事でサッカー界から追放され、落ちぶれた生活を送っていた。

そんな中、ファンは少林拳を世に知らしめようと躍起になるシンと出会い、その才能をサッカーに活かすべきだと説く。

シンは自分と同様、うらぶれた生活を送っている兄弟弟子に声を掛け、少林チームを結成。ファンを監督に迎え、猛練習を続ける少林チームは徐々に頭角を現し、ついに決勝にまで辿り着く。

決勝で待ち構えるのは、かつてファンを陥れたハンが率いるデビルチーム。薬物を投与した選手やデビルチームを贔屓する審判らに、少林チームは苦戦を強いられるが……といったお話。

 

少林拳法とサッカーをブレンドした、とんでもない試合が展開される、漫画やアニメを実写化したような作品です。

本作を成功に導いている大きめの要素はCG。

CG技術が一気に跳ね上がった事を見せ付けたのはもちろん『ターミネーター2』ですが、CGの使いどころの幅を広げたのは本作だと思います。バカバカしいカット=ギャグのために本格的なCGを使うのって、実は革命的な事ではないでしょうか? 

本作が公開された当時、これは日本でも流行る→似たような作品が乱発するだろうなと思ったものですが、大して火も着きませんでしたね(笑)。

代わりに、本作のようにアニメ的な表現が可能になったのが分かったせいか、漫画やアニメ作品を実写化したがる傾向が強まったのは、本作が起点になっているのかな?

常に実写化反対を唱えるアニメバカも騒々しいし(笑)、だったら本作のようにアニメ的な表現を駆使するオリジナル作品を作ればいいのにと思うんですよ。

 

基本的にはバカバカしい(という上級の褒め言葉)作品ですが、お笑い要素だけではありません。

少林寺拳法の使い手と言うと聞こえは良いですが、一芸に秀でたものを持っているというだけで、社会的なステータスはゼロに等しいんですよね。修行を終えて一般社会に戻ってきた門下生は、総じて貧乏暮らしをしているのが生々しいんですよ。

相当な修行を積んできたから基本的な運動能力は高いはずという事で、拳法の技術をサッカーに転用するのはそこまで苦ではないんだろうけど、彼らのモチベーションの根っこは底辺の暮らしから這い上がろうとするハングリー精神にあるんですよね。

 

シンとムイの恋も本作の根幹をなす要素の一つです。

あばた顔を隠すように前髪を下ろし、口数も少なく相手の顔を見ようとしない、自分に自信が持てないムイの本質を見抜き、「君は美人だ」と下心もなく断言するシンの純粋さ、女子はキュンとしませんか?

そこから徐々に親しくなっていく二人ですが、サッカーの方が順調なせいでシンの心が離れてしまった事を悲しむシーンは、もう一言くらい言葉があっても良かったかな?

その後の、甘いはずの饅頭がしょっぱくなった理由とかベタベタすぎで、もはや微笑ましい!

 

ムイと言えば、自分に自信を持てというシンのアドバイスに従ってイメチェンしますが、あまりにもベクトルが違いすぎて失笑モノです(笑)。

シンは本気で褒めていたけど、ムイが能動的に変わろうと、確実に一歩を踏み出している事が喜ばしかったのかもしれませんね。

ムイはさらにイメチェンを図りますが、このインパクトはかなり大きいけど(←特殊メイクなんでしょうか?)、これが一番可愛い! その後の小ボケも愛嬌があっていいですね。

 

現実にも漫画や映画(アニメやテレビドラマを含む)に感化されてスポーツ選手になった人は少なくありませんが、本作を観て拳法やサッカーを習い始める人って、どれくらいいるんだろうなぁ(笑)。

 

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あら、本作は字幕版は配信されてないんですね。

主観ながら、香港映画は『ゴールデン洋画劇場』枠が似合うように思えるので(笑)、最初から吹替版を楽しむのもアリかもしれませんね。